半身

なんとなくわかった
君なんだなと
それまでのタイル状に貼られた緊張が
その一瞬の笑顔で消し飛ぶ



初めて見たときに
初めて話したときに
初めて触れたときに
初めて優しくしたときに
初めて会ったのに


ずっと前から
何もかも知ってるような既視感



空の海に沈みそうな背中
少し寂しそうで
なんだか守りたくなって
禁忌を犯す快感と罪悪感
その衝動に飲まれて抱きしめる



君の感覚を思い出すように
肌が君に反応してざわつく



もう一回
笑って欲しくて


もう一回
不機嫌になって欲しくて


もう一回
触れて欲しくて


もう一回
こっちを見て欲しくて



悪戯してしまう
でもとても楽しくて
怒ってる顔を見てもなんだか微笑んでしまう



君が居た記憶が刻まれて
その痛みを想像して少し怯える
居る事になった君
もう居ない君