2006-01-01から1ヶ月間の記事一覧

滲色

鬱屈な灰色の街並み 億劫に見上げた空さえも 駆け巡る情報が時折ノイズを散らす 風が濁り淀むビルの隙間を足早に歩く すれ違う人達も同じように コートの襟を立てて 帽子を深く被り マフラーで口を覆って 下を向いている 街も空も見ないように 自分を隠すよ…

雪の卵

例えるなら ぬるく纏まりつく様な鼻につく匂いと 虹を模して失敗したような異質な色 そんな工業用排水が泡を立てているように 自分の汚れが溜まって 他に何所も行き場が無くて そこに淀んでいるそれ 気が付かないうちに溢れそうになってた 溢れたら視界に染…

文字や単語の羅列という命

いつかここにくるかもしれないだれかへ もしかしたらそれは先の自身かもしれない 深夜にWebを彷徨っていた人かもしれない 検索結果の中のひとつに紛れていたのかもしれない その誰かは 疲れた顔でPCの前に座っているかもしれない 仕事の合間かもしれない も…

静けさという時の中で眠り続ける森

どうやら迷ったみたいだ 僕らが生まれる前からここに生えていた木々 今の僕の目にはとても大きく恐ろしく見える 太陽の光を遮ってこの森に悠久の夜を与える 紫色の水晶が岩肌から突き出している 冷たい光を灯しながら それは自然が産み出した結晶 神々しいほ…

歪の亡霊

自分が自分でいる為に自分を演じる 昼間の自分と寝る前の自分 その間に生じる亀裂、歪 少しずつだけど確実に広がっていく そこから湧き上がり流れ出す黒い影 目の前に溜まりタールの沼のように ぬるりと横たわっている 自分が生きる為に産み出した亡霊 夢さ…

君とこうして手を繋いで見てるんだろうな 世界の終わりすら 

ゆったりとしたソファに腰をかけた僕は ふと思った事を口に出して見た 「例えば今日世界が終わるとして」 彼女はキッチンに立っている 「それで?」 口に溜まった唾液を飲み込む 「自分ができる最大限の善い行いと」 すかさず彼女 「最大限の悪い行い?」 僕…

アンドロイドタチ ノ ゴゴ

人間っていうのは面白い生き物だったんだよ その時に足りないものを認識すると それを得ようと作り出そうとする 時にはレプリカでも脳が補完して充足を得る事ができる とてもユニークだよね 何よりも強みというか 人間がピラミッドの頂上に君臨していた時の…

雪と女と

少しの休みが取れたのでお気に入りの秘湯へ 高速を飛ばして トンネルを越えて 雪景色の中をひた走る 途中でペンションで必要そうな物を揃える この時間が一番楽しいのかもな ペンションの駐車場に車を止めるとオーナーが出てきた 久しぶりの再会に握手を交わ…

寝惚けた目覚まし

AM 7:00 携帯電話が朝を知らせる 無機質な着信音が煩わしく響く ・・・んん・・・うるさ・い・・・ 目を擦りながらその音を止める カーテンの隙間から白い朝日が差し込む AM 7:20 余りに規則正しい目覚ましを全て止めて 起きて仕度をしなきゃ・・・ と思いな…

最後の楽園

お気に入りのポイント 気分が沈むとここに潜りにくる ターコイズな空とエメラルドの海 目を細めるとはっきりとした境界線 力を抜き呼吸を整える 空を見ながら小さな覚悟を 体を世界に委ね深海に沈めると 自分が体から離れるような錯覚に陥る どんなに荒れ果…

死に至る病

いつからそれに怯えていたんだろう 小さい頃に大きな真っ白のキャンパスに描いた夢 少しずつ掴んで引き出して 手応えを感じながら歩いてきた いつからか 手に入れることよりも 手を離すことに恐怖を覚えた 怖さに捕らわれ足が竦む 目の前には見慣れた交差点 …

珈琲の淹れ方

窓を優しげな雨がしっとりと濡らす 流れる粒を見ながら 火にかけたポットに目を配る ことことと ゆっくり自分のペースを守るように もう一つの沸騰したお湯をカップに入れる カップが温まるまで少し待つ フィルターにマンデリンとモカを半分ずつ入れる 挽き…

子犬が戯れるように

もっと やさしくして 何も考えられなくなるまで 深く深く もっと つよくして 指先さえ動かなくなるまで 熱く熱く もっと もっとして 自分が自分じゃなくなるまで 強く強く いつからアナタに いつから抱いていたのか 今からなのかもしれない アナタの強い衝動…

白(3) - 誰が為

隣に管に囚われた女の子が来た もう光を映していない力の無い瞳 人として生きているのではなく 機械に生かされているような 小さなその手に握られたひとつの翼 切り離された夢の続き あの頃のように君を抱きかかえる 手を繋いでいた昨日の彼方 二人しかいな…

白(2) - 白という色で塗りつぶされた部屋

開け放たれた窓から青い風がさらさらと入ってくる 穏やかな日差しがシーツに落ちる 所在無く存在する僕の横に活けられた一輪の花 玉響な美を使い捨てられる事で悠久を得る空間 一瞬の苦しみから逃げて悪戯に時間を消費する僕 窓から子供たちの遊ぶ声が聞こえ…

白(1) - 君の居た夢

見た事の無い場所だった 乾いて割れた大地 裂け目から噴出す炎の柱 巻き起こる砂嵐は肌を切り裂いて ボロボロになった布のようなもので体を包んでた 体中に傷があるみたい けれど痛みは無い 向こうから君が よく見ると瞳の色が瑠璃のようだった その君に似た…

ウソ

ウソを吐くほど ウソを重ねる ウソを吐くほど ウソに迷い ウソを吐くほど ウソに溺れて ウソを吐くほど ウソに騙され ウソを吐くほど ウソに泣かされ ウソを吐くほど ウソに守られ ウソを吐くほど ウソに侵され ウソを吐くほど 自ら霞んでく 真実がウソにな…

オトコノコ ノ キモチ

たまに 手を繋いで欲しい 体に触れて欲しい 髪を撫でて欲しい 笑って欲しい 社交辞令でいいんだ 作り笑顔でいいんだ 他の人に見せる顔でいいから 馬鹿みたい 特別になりたかったはずなのにね 特別になったのにね たまに 背中を押して欲しい 手を差し伸べて欲…

自らをだます様に表情を心から凍りつかせる

深夜3時 そびえるビル群 所々にはまだ灯りが点いている 昼間は賑わうオフィス街も この時間は人はおろか タクシーすら通らない まるで自分しか存在しない悪い夢みたいだ コンビニの店員は所在無くどこかを見つめている よくある荒廃した未来という景色に重な…

いい夢をみて いい朝を迎える為のおまじない

手を繋いで シーツに包まって 足を絡ませて 眠りたい 夢の中でも離れないように 同じ夢を見れるように 離したくない 離さないで 離れないで 目が覚めてもすぐ横にきみの顔があるように 眩しそうな顔でおはようって言って 寝ぼけたままこの体を引き寄せて な…

満月

「静かだねぇ」 「もうこんな時間だからねぇ」世界が寝静まった時間 一つの大きなお月様と 冬の主の寒さが流れる 「静かだとなんかうるさくしたくなるねぇ」 「そういう時は静かにしておくものよ」身震いをすると首の鈴が小さく鳴り響く 「ふーん そんなもん…

生きてきたことのしるし 生きていくことのしるし 手のひらってみんなそれぞれ違ってて 今までの思い出を刻んであって 過去をすくい上げる事ができて 未来をつかむ事ができて 自分をみがく事ができて 人をきず付ける事もできて いろんなことができるよね でも…

青い夜

寂しさ、辛さ その分だけ優しくなれる けれど その分だけ冷たくなる 少しずつ優しく冷たくなる あの頃の無数の傷口から 温かさが抜けて行って 優しさが入ってくる そこにいる自分は一体誰なんだろう いつも少し離れた所から自分を眺める自分 そっち側に行き…

オトコの色気

頭でわかっていても やっぱり寂しい 傍に居て欲しいし 肩にもたれ掛っていて欲しい みんなみんなとっても寂しがり屋 それが誰かの代わりでも 蜃気楼みたいな安らぎを その向こう側に求めて 少しでも和らげたくて その気持ちをわかってしまうから 抱きしめた…

あなたにとって自分が生きた証って何ですか?

今日は長年携わってきた仕事の打ち上げが終わり 2次会で小さなバーへ 隣には初期の頃から一緒にやってきた一人の女性 「お疲れ様でした」 「お互い様だよ この日の為に仕事をしてきたようなもんだ」 「ふふ 分るような気がします」 グラスががかちんという…

缶コーヒーが飲みたい時

あなたが喋ると 思わずその口元に目が吸い寄せられる 僕の時間が止まる 僕が忘れてきたものを持っているあなた 笑い合えると繋がった気がする 階段を上り外へ出ると丁度雨が降ってきた 土砂降りだ 地下の駐車場の入り口まで走る 途中の橋を渡るときにふと目…

眠れる夜の欲望

とても深いところで蹲っていた 体を丸めて生まれるときみたいに 誰かの囁く声で薄く瞼を開く 歪んだ視界はとても眩しい光だけ 赤い雷が頭に響く 腹部に感じる強烈な違和感 喉の奥に香る金属の味 闇に溶ける三匹の狼 眼と牙だけが禍々しく夜に浮かび上がる 目…

あら まだ起きてたの?

そんな険しいような苦しいような顔して 目の前の蝋燭を見るのなんてやめなよ 組んだ手を解いて 燃えているのを見ているの? 燃え尽きるのを待っているの? 鼻歌でも歌いながら歩こうよ 考えなくても未来は向こうからやってくるんだ そんな難しい顔してないで…

癒えない傷

誰にも触れない傷を抱いて 霧の夜に光りを放ち その傷口からそっと流れる涙 忘れそうな色彩は いつか眠る前に聴いた童話 それは 遥かな昨日 極彩色の世界で 好きな色を飛び跳ねさせてた頃 世界と初めて触れ合った時 うっすらとしたその記憶に憧れは募る 雲と…

いつかの果て

一年中暖かくて ずっと慎ましい花が咲いていて 枯れることのない緑に囲まれている 芝生に寝転んでいるぼく じゃれてくるきみ 二人で笑い合って きっといつか きみといつか 何処までも続く時 何処までも見える空 その向こうで君と一緒にいれたら 常緑の中で過…