2006-05-01から1ヶ月間の記事一覧

朝の光に照らされ 僅かに恵みの露を落とす 夕凪に吹かれて 深く呼吸をする 狐の雨 とても儚く 夜の闇に佇み 絶望を限りなく 精霊の囁きの様に 惑わせては霧の中へ消える 流水と舞いあの日の歌を口ずさみ 雷鳴の音と共に崩れ落ちる 何処からともなく 何処かへ…

祭りの後

夜遅くまで残って企画、運営してきた祭事 今日のこの時間を過ぎれば終わってしまう グラウンドの中央に組まれた木材 今日までの熱の終着点みたく燃えている 炎の力に当てられ周りで踊る彼ら 薄暗い教室でビールを飲みながらそれを見ている 運営委員は皆出払…

見えない絆

小さい頃からずっと一緒でさぁ 背格好も似てたよね 体育の授業ではいつも競争して ふざけあってて途中から喧嘩になったりもした 別々の高校に入学してからも時々会って話をした 変わっていく街の風景の中で変わらない約束 そのベンチで夜を待っていたら隣に…

夕べの雨 明日の風

十人十色 千差万別 人という種 伝わる心 誰かの喜びに震え 誰かの悲しみに嘆き 人と人の隙間 そこはこの世とは違うのだろう 全てが漂白される程の暴力 一枚の写真に舞い散った赤 穢れた手で見つめて 優しく穏やかに微笑む 生という澄んだ色に 風の為に手を重…

シンアイ ナル アンドロイド ヘ

もうだめだ 何をしても報われない 俺は猛スピードで走り抜ける列車に飛び込んだ うっすらと消えていく意識の中を漂っていた 「あ〜 もうまたかっ」 「仕方ないですよ これは貴方のコピー 貴方の迷いをそのまま映します」 「永遠に生まれ変われれば何か変化が…

心の帰る部屋

一ヶ月の内に何回か訪れる店 照明は緩やかに落とされて 隅の席では恋人達が愉しんでいる 重い扉はぎしりと音が鳴りながら開く 「いらっしゃい」 彼女の声が迎える 誰かのジャズと店の空気が解け合って流れている 上着を渡してアルマニャックをもらう 何も言…

嵐過ぎ去りし夜

降り続いていた雨が止んで 強めの風が窓を揺らしている 小さい頃の飴玉を失くしたカラダは眠りを知らず 揺れる灯りをぼんやり眺めてる 目を閉じてしまえばいいのに スピーカーからは流行りの音楽が 人生の迷いや喜びを歌っている 共感もなく少し冷めた感情だ…

ひっそりと彩りを

射干玉の夜に沈んでいる 激しい雨音に耳は塞がれる 人気の無い通りに膝を抱える どこを歩いてきたんだろう? あそこの角を曲がったんだっけ? 空ろに思い返す もうどうしようもない 自分というモノを持てなくなる 持ちたくなくなる 最初からやり直せたらいい…

何が欲しかったかなんてもうわからない

あなたが僕のものになればいいのに そうしたらきっと穏やかな朝を迎えられる 風の強い夜もこの部屋には届かない 最初はひとつ それが叶うともうひとつ 手に入れ叶う事を知ると 叶わないことに嫉妬する 手に入れたものは消費されるだけ 毒をまかれた草原みた…

ユメオイビト

夢になりたくて祈るの? あなたが夢を見ているときは注意して 手を振る人が大勢いても あなたはあなたのままで忘れないで 完全なものなんてない 僕らは欠けた鏡 夢を追う人 負われる人 夢に老いていく人

美しい人

美しいものに見惚れる それは懐かしいから 自分が持ちうる一部分を共有しているから 自分が美しいと思うものは自分の一部なんだ 俯いた冷めた瞳 今にも消え入りそうに点滅している電灯 備えた強さのような爪 蒼い空に薄く伸びる一筋の飛行機雲 白く伸びた腕 …

褪せて慣れて

笑った貴方の顔と声を想像する 輪郭のぼやけた表情に聴こえない声 デジタルに変換された情報なんかじゃ足りない どれ位離れているんだろう 独りが寂しいんじゃなくて 貴方がいないんだって思うから 貴方に会いたいと願う熱い気持ち ぐるぐると渦巻いて少しず…

夕立に降られて逃げ込んだ木陰

諦めてしまったんだね 少なくとも私からはそう見えるよ 君は気付いてないのかも知れないけど それは終着点なんかじゃなくって ただの通過点なんだよ 同じものをみていても違うものを見ているんだよ 同じものなんて見ることはないんだ それに気付くことはあっ…

歌鳥風月

獣達も寝静まった真夜中に こっそり抜け出そう 月明かりを頼りに歩こう ヒミツの場所があるんだ 誕生日にもらった竪琴も持って行くから 冷たさが香る針葉樹林を抜けて 繋ぐ手はあったかくてちっちゃくて 初めての感覚にほんの少し大人になれた気がして 自分…

自由

何処までも纏わり付いて来る重力 いい加減うざったくなってさ この両の腕を翼に変えよう 薬と罪を交互に重ねて儀式を 自由になれるって 誰にも何にも縛られる事なく それが幸せなの? そんな言葉じゃ止まらない ここから逃げられればなんだって良かったんだ …

生 - セイ

傷ついたカラダを癒すように 燻った心を冷やすように 朝の光と水を浴びる 少しだけ物思いに耽る 水滴の付いた鏡に映る男がこっちを見ている 色濃く残った隈 病的な肌 何かに飢えてぎらりと光る瞳 鏡の男は不思議な笑みを浮かべて話し掛けてくる 存在の意味を…