2004-01-01から1年間の記事一覧

テーブルに置かれていたいつかの書置き

彼女から最後の手紙が届いた 死ぬ直前に宛てたものか 一つ一つの言葉に命と想いが込められた手紙 それらを閉じ込めるように封がされている 開けてしまうと その彼女の灯りが散ってしまいそうで 小さな出来事の欠片 他愛のない会話や言葉に 彼女が何を想い、…

わがままなのは心? それとも体? わがままな私

あなたは私の為になんでもしてくれる これからも何でもするという 私の脳から滲み出した言葉や 私の皮膚が醸し出す匂い 私の心臓が奏でる旋律 私が纏う私から溢れる私と云う空間 それら全てを理解する事に人生を懸けたいと ごめんなさい それだと駄目 私は私…

箱庭

地面から突き出した鋼鉄の建造物 まるでウィルスが暴走して 秩序が組み替えられてしまったように 正しかった姿とは似ても似つかない ただ生きるという事だけを表した形 吸い尽くし傷つける その柱の中の小さな一つの部屋 まるで誰かの作った虫かごみたいな …

キソクタダシイユレガネムリヲサソウ 規則正しい列車の揺れが眠りを誘う 週末のためか車内にはアルコール、タバコの匂いが漂う ふと休みは何をしようかと思う それは形にならないまま何処かへ流れてしまう ガタン・・・! 少し強い揺れと共に列車が停止した …

影漏

物心付く前から ずっと一緒にいた 寂しいときも話しかけたりしていた 昼は太陽の光で 夜は月の光で ある晩 彼女を抱いているときに彼はこっちを見て笑った 僕の腕の中で眠る彼女の横で 「カノジョ ハ ボク ヲ アイシテルンダ」 僕が彼女を抱いているときは彼…

飼猫

部屋の明りをつけなくても 外の明りのおかげでうっすらと見渡せる 明るい夜に排気ガスの塊のような雨雲が浮かんでいる 「自分の目に映る景色は自分の心の中の景色」 なんて言ってた人を今は恨む 天候すら嫌な気分にさせるなんて 部屋の扉を開けて腕の中に滑…

月のような人

彼は私の全てを受け入れてくれた 喜び 哀しみ 過去 ただ頷いて 「そのままでいいんだ 居てくれれば」 と 幸せだった 居場所ができたと思った この人について行きたいと ずっと変わらなかった あの人はいつも微笑み掛けてくれた 私は物足りなくなった なんで…

砂の記憶

僕はパイロットだった 今 目の前にある鉄くずに乗っていた 墜落しなかったのを幸運というべきか 周りは見渡す限りの砂 砂 砂 焼け残っている物資を取り出し確認する 何日かは生きられるか・・・ 水が見つからずに物資が切れたら死ぬな・・・これは 岩場を見…

揺れる蛍の幻

なんで今日という仕来りがあるのだろう 悲しいことは忘れたいはずなのに 楽しかったあなたとのあの日を想う この世から去る事で永遠を手に入れたあなた 焦がれ続けるこの心 恨めしいし羨ましい もしも居なくなったのが私だったら・・・? あなたも同じ気持ち…

竜宮

少し変な味のカクテルのアルコール 網戸から入ってくる風が肌を撫でてく 出逢ったばかりの二人の時間 点けっ放しのテレビからは音楽の売り上げランク 交わす言葉もそんなになくて 沈黙を誤魔化すように手を取って抱き寄せた 慣れてないようで知らないようで…

玉響の水

その空に浮かぶ夢の丘は いくつもの雲を貫いていた とても眺めの良い所だったよ 遠くまで見渡せて 空気も澄んでた 鼓動の音が辺りに響く位静かで 楽しいことや悲しいこと なんにもなかったけれど とても高揚していた 少し寂しかったけれど そこに誰かと行く…

雨の音 雨の粒

遠慮したような小さな粒から 少しずつ強くなっていく それに合わせて車が水溜りを撥ねる音 少し急ぐ人の足音 傘の上で遊ぶ粒達 収束しながら加速する ひとつの楽曲のように それは即興で この瞬間のこの場所にしかない 名曲へと昇華する この音を聴いている…

少し遠くを虚ろに見つめて笑う横顔 何を見てるの? 僕にも見せてよ

真っ白な少年だった僕 あなたは僕を拾ってくれた 僕をあなたの色に染めてくれた 少しずつ あなたの色に染まっていく僕 それをあなたは褒めてくれた 完全に染まると僕の前から消えた 今も 全ての人を身代わりにして 満たされることは無く 少しの隙間を埋める…

過去に灯す儚い炎 自分の弱さ、夢、無念、記憶、心

僕が久しぶりに戻ると いつのも場所にいつもの仲間はなく 彼が居ただけだった 僕を待ち続けてくれたらしい 全てを聞いて頷く事しかできなかった もし僕が居ればこんなことにはならなかったと彼は付け加えた ・・・ 何日経ったのだろう 暖炉に薪をくべながら …

ぬいぐるみが何を考えているか 知りたい?

心の扉を閉じるように 部屋の扉を閉める 可愛いぬいぐるみ達に囲まれる 安心して息を吐き出す その息には外の自分の全てが含まれている 息を吐き終わると 僕はただのボクになる いつものようにぬいぐるみ達に 宛ても無く話しかける 何処と無く空間を見つめて…

境目

「また来たのかい?」 「うん」 「ここは君が来るところじゃないよ」 「だって会いたい」 「しょうがないなぁ 少しだけだよ それとあんまりここへは来ない事」 「いつもそればっかり」 「何度もいうけど ここは死んだ人しか来れないはずの所なんだよ」 「で…

幕は降りる

「私は貴方みたく強くないのよ」 力のある視線とは別に瞳に溜まった涙が今にも溢れそうだ その思い余った言葉が引き金になったのか 一瞬表情を歪める 許しを請うような眼に変わる ぼろぼろと涙が零れる それを決めた事 行動を起こしたという事 一人の人間と…

小さな公園で近所の少年とかくれんぼをしていた

捕まーえーたー 何も知らない綺麗な眼をした少年 その少年の顔があたしの前にひょこっとあらわれる もう貴方の心は逃げられないよ あたしは力なく横たわっている 少年の声が頭に響く ボクから逃げたければ逃げていいんだよ あたしは頷く事もできない 少年は…

夜桜

もう何年この咲く事のない付き合いをしてきたんだろう 今更ながら思う いや 本当は逢う度に思っていた それでも それさえも失ってしまう怖さに怯えて その そこにある 偽りだけれど 確かな温かみ それに甘えていただけなのだ いつかはその時が来る そう覚悟…

音の無い夜 月が支配する黒 絡まる肢体

仕事帰りに君を拾ったのはいつだったっけ 薄いグレーでしなやかな髪を雨に濡らしていた君 青みがかった金属のような光を放つ瞳 媚びるような感じなんて全然なくて むしろ・・・ その存在感に惑わされて 抱き上げて家に帰る 部屋に入ると すぐさま 窓際の月と…

その手で壊せるから愛しく思えるのよ

私は彼の苦悶に歪む顔が好きだ 私は達する時に彼の背中に思い切り爪を立てる 硬く逞しいそれのように 隆起した筋肉 一点に穴を開けるとそこから全て流れ出して 何もかもを崩れてしまいそうに儚い男の体 私の鋭い爪が彼の体に痕をつける その瞬間の彼の顔を見…

振り返った景色に記憶が滲んで

あなたに手を引かれてここへ来た時 見渡せた街並みはなんだか少し怖くて でもなんだか綺麗なものに思えて ひとりでここへ来て見下ろした街並み 寂しそうで少し埃被っていて あの頃の風の匂いだけが今も変わらず 懐かしい街並みはどこか冷たくて 変わったのは…

等価交換? もう一度考えてみて

お金は無かったけれど時間は余ってた だからずっと一緒にいた 今は時間がなくてお金はある だからお金を使ってる どっちが贅沢なのかな 時間を使うのと お金を使うのと 本当に大切なものは・・・ わかっているけれど 仕方ないんだって お決まりの台詞を 掃い…

歌流し

立派な言葉並べて 冷めた顔して大人ぶって 悲しい事が多いからさ 少しでも何かが良くなればいいねなんて歌ってる 半分本当で半分嘘 自分の考えなんてとても浅はかで 自分の歌う言葉なんてとても稚拙で 恥と罪を上塗りしてるだけ それでも何かと関わっていた…

履行 ジブンはダレのものなんだろ

またねと言って手を振るあなた あのひとの所へ帰るあなた 帰したくない 慣れると思っていた 時間が経つごとに化膿して来たみたいだ それを変える事は簡単なことだ けれど契約はそれを許さない 器用な恋愛ができないのかな このカラダとアタマは・・・ 二人で…

こう生まれ こう生きようと こう生きてきた

雪を切って 風を切って 何所までも跳ぼう 限りなく冷たく 限りなく細く 今を切り裂き未来を拓こう 乱れの無い鏡のように 透明な被膜のように 世界を写そう この拡げた羽根が届くことは無いけれど 信を貫くことしか知らないから 研ぎ澄まされた体で君を傷つけ…

何が罪だったのか それこそが罪

また君のいない冬がボクの横を通り過ぎる まさか居なくなるなんて思わなかった 最後の言葉を言えなかったし 最後の言葉を聞けなかった 残っていたのは 一通の手紙 一片の言葉 永遠の呪い あの時 この手紙を 開いて読んでしまった為に ボクは過去へ進むように…

頭蓋に響く鈴の音

りーん・・・ 鈴の音がどこからともなく聞こえる 後ろの方から 近くも無いけれどそんなに離れてもいない なぜか後ろを見なくても後ろの風景がわかる 見ているわけではない 目の前はただ黒いだけだ 眠っているのだろうか? だとしたらこれは夢か? 夢を見る事…

花 もう咲いていたんだよ 知ってた?

私達は カラダの何所かに とても小さな けれども無限の種を一つ持っている それは様々な栄養を必要とする 例えば 世界で一番自分が不幸なんじゃないかと思う事 この人の為ならなんでもして上げたいと思う事 どんなに辛い思い出も どんなに嬉しい思い出も 忘…