幕は降りる
「私は貴方みたく強くないのよ」
力のある視線とは別に瞳に溜まった涙が今にも溢れそうだ
その思い余った言葉が引き金になったのか
一瞬表情を歪める
許しを請うような眼に変わる
ぼろぼろと涙が零れる
それを決めた事
行動を起こしたという事
一人の人間として彼女を尊敬しているから
本当は言いたいこともあった
そんなに強くないんだよって
今にも膝が折れて倒れてしまいそうなんだって
気がつかないうちにこんなにも大きな存在だったって
失うときに気付く何時もの愚かさ
震える手で描かれた稚拙なシナリオ
彼女の考えていることが解かるから
自分にしかできないこの役を演じ遂げよう
涙はこんなにも暖かい