2006-03-01から1ヶ月間の記事一覧

桜色の風

真新しい雪みたく咲き積もって 暖かな風が強く吹いたら散って仕舞いそうで 毎年訪れる区切りの季節 終わりの季節 始まりの季節 それが終わりの始まりだとしても 夢と現実の境目みたい その淡い色に眼を奪われる その淡い香りに心を奪われる その淡い時間に世…

燻り続ける色褪せた炎

座席は数人程度しか埋まっていない 電車に揺られながら遠くの景色をみてる 心地よいゆらぎと小さな窓 真上に上がった太陽が街を照らす 白と黒のコントラストがくっきりと浮かんでる ふいにあの夜のあの部屋を思い出す 空間がカーテンを引かれるように開く 体…

擦り切れた心の断片

灰色の雪が降る仄暗い毎日 そんな中で君に会えてよかった 心からそう思うよ 本当だよ 君からみたら信じられないかもしれない 他の人がみたら軽蔑するかもしれない 結果や過程はどうあれ この言の葉は紛れも無く それもその中のひとつでしかなくて いずれ い…

今を逃げる

なんだか今日はおかしかった 強迫観念にも似たそれに駆られた 何も無いところへ行きたかった 正確には自分がなんでもない人になれる所へだ 何もかもが煩わしかった いつまでも鳴り響く街の喧騒 幹線道路を行き交う車の音 携帯の着信音 自分を取り巻く人の繋…

何度でも飛ぶよ 白い空へ

目に焼きつく白い雪原 人を拒むように吹き荒ぶ風 その雄々しい音に安心する 息を大きく吸い込む 体の隅々まで山の空気が行き渡る 板を撓らせて勢いをつける 落ちるように速度を上げる 針葉樹林の合間を滑りぬける 少しずつ景色の流れが速くなっていく 風に切…

桜 脳を暈す

風景を滲ませながら広げる春の匂い 桜の花のひとつひとつが視界を塞ぐ ぼんやりと流れる時間 きみという素地 肌触りよく人を包む わたしへと染め変えて上げる きみを抱きしめる 色を確かめるように 少しずつ 確実に 吸い付くように変わっていくきみの その変…

一日の終わりに

熱めのお湯をいつもより多く溜める 窓を少し開けて灯したキャンドルをそっと置く ゆらりとゆれる照明 連れられて影も躍る 甘い香りが蒸気と混じる 乳白色のバスタブに肩まで浸かる 冷えた皮膚と身体が強張る 濃くなっていく白く細かい湯気 その向こうに蜃気…

優しく湿った雨の匂い

部屋に流れる湿った空気 火照った頬を冷たくなぞる 昔からある傷跡が痛む カーテンの向こうは薄暗い カーテンの隙間から窓を薄く開ける 暖かな春の雨の匂いが入り込む 学校からの帰り道雨が降るとやけに長く感じた 友達と別れるとさらに心細くなった 明るく…

衝き動く

自分の証明 鏡には何も映らない 眠れるなら 少し疲れたろ? 空を見上げて 眩しくて見えない明日 誰も居ない交差点 赤と青の両方が点滅している信号 立ち止まる いろんな何かが通り過ぎる 電話越し伝わる君の声 手探りでも 笑わせる事ができたら

名前も知らない花 静かな森の谷間にひっそりと生えてた 透明な腕を伸ばして触れる 果肉のように柔らかな葉 誘うような包まれるような匂い 深く碧い森に彩を添える色 その身を守る為の毒と棘 真っ暗な夜でも頬杖をついて眺めていたいと思った 摘んで帰った 手…

いつもの風景

ずっと変わって行く波の音 ディスプレイに映る文字 点滅する信号 道端で風と踊る枯葉とビニール袋 前を歩く人の背中 電車の窓からいつも見える景色 戸棚に置かれた新聞の隅 コーヒーの匂いと立ち上る湯気 自転車のブレーキの音 机の上に置かれたポプリ ビル…

ずっと ずっと ずっと

優しい空気が肩を抱いてくれる 暖かな水が喉を潤してくれる いつでも傍に居る ほら座りこんでないで 歩こう

名も無き丘

紅い爪に細い一本の煙草 気怠るく煙を吐き出す こっちに気付いて微笑む彼女 穏やかな口元に夜に映える挑発的な唇 彼女が描きだす影としっとりとした動き どこか危うくて 霧のように儚く佇む その霧の中に迷い込む 人のものだと思えば思うほど欲しくなる 吸い…

無いから欲しがるのかな

風が無い 生きるものの息遣いすら聴こえない 音の闇 無音という音が聴こえる 首筋から頬にかけて少し熱がある まるで喉の辺りに心臓があって 自分の生命活動の全てがそこから始まっているような その熱を取り囲んでいる他の部分 皮膚の表面から神経の深層ま…