一日の終わりに

熱めのお湯をいつもより多く溜める



窓を少し開けて灯したキャンドルをそっと置く
ゆらりとゆれる照明
連れられて影も躍る
甘い香りが蒸気と混じる



乳白色のバスタブに肩まで浸かる
冷えた皮膚と身体が強張る



濃くなっていく白く細かい湯気
その向こうに蜃気楼みたいな小さな炎
まるで自分がその炎みたいに



目を瞑り口までお湯に潜る
目蓋の裏には残影が
目を開けていても
目を閉じていても
同じ景色が浮かぶ



暗く
暗く



赤く
赤く



揺れて
揺れて