2006-06-01から1ヶ月間の記事一覧

出会いと別れ

今じゃもうよく思い出せない あの日この交差点で出会って 何かに怯えて寄り添って 夕日に伸びる影も 夜に飲まれる影も シーツの上の影も あなたがくれた言葉がこの胸に刺さったまま この交差点に一人で佇んでいる 未来に怯えて立ち竦んで 夕焼けに繋いだ手も…

何かに追われる様に焦っていた 追いかけてきた影は幻だったのかもしれない ばら撒いて蹲る 森の木々が呻いている 鳥達が騒ぐ それでも構え弾くのを止めない ずっとずっと 風が叫ぼうとも 闇が支配しようとも 逃さない

読書

本を読んでいる俺の膝の上に遠慮なく乗っかってくる 重たいし暑苦しいしくすぐったいし そんな事を思いながら一目見上げる どこか調子の外れた鼻歌を歌っている ころんとして大きく瞬きをする瞳 悪びれるどころか 楽しいよね?って言いかけてきているみたい…

落ちて堕ちて墜ちて

いいってまずはやってから考えろよ まだ考える余地があるよ 出足が遅いからいつも出し抜かれるんだぞ 足取りが重いんだ仕方ないだろう その快楽までは知っているはずだ その先はどうするの どんな偉人でもな成功するキッカケってのは本能に任せた時なんだよ …

コワレモノ ノ アンドロイド

くだらない あいしてる つまらない あそぼうよ めんどくさい こっちへおいで かったるい わらってみてよ ばかみたい おもしろくしようよ いみないじゃん せっかくだし いらないよ 捉われていた気がする 言葉という力に 書き出した言葉 想いを込めて ありもし…

揺り篭

どれだけ固く結んだ糸も どれだけ迫った約束も 疑いもせずに信じれた何かも 当たり前だと思っていた現実も 世界の中心に居ようとも 片隅でひっそりとしていても 悪戯な出来事で ほどけて ゆらいで かわって まぼろしのようで すりぬけて 揺り篭を揺らす手は…

火を燈すと云う事

銀の月が煩くて眠れないんだ ガラスに浸した水とキャンドル そっと香る炎が水に揺れる 頭が真っ白になるくらい遠い記憶 覚えているわけないけど安らぐ 旅に疲れた人達を癒してきた炎 いつもどこかでゆらゆらと燈される 照らす灯りがみんな消えてしまったら …

厄日

一体何なんだ 忙しさとスピードと 狂気と疲れと 満ち欠けと反復と それだけの毎日を稚拙な術で切り抜けてきた 精巧に組上げられたパズル 狂いを許さない秒針 その隙間にようやく辿り着いたってのに そこは足場ではなくて虚無の奈落 何の為にここを目指してい…

手を引いてこれが最後の曲目

ずるいよ そんな安っぽいドラマみたいな台詞で 僕が返せる答えを知っているくせに 日常を演じる事の滑稽さに呆れて声もでないよ 最後の時まで互いに決められたように微笑んで 悲しくて優しくて 切なくて幸せで 心の溜りに 積もった歳月 重ねた記憶 しってる…

繋いだ手 振り払った手 解けた手 掴めなかった手 離してしまった手 届かなかった手 握り締めた手

わからない

ほんとうはわかってるくせに

無欲な人間なんて居るのだろうか 限りなく増える欲 乾き 渇望する まっくらな絶望の中で小さな光を見つけた時のように 凝り固まった思考に気づいて体を揺する 何も考えず 全てを受け入れる 自然に溶け込んでいく 感じるそれぞれの個 目を瞑ってはいけない 何…

彼と彼女の描いた・・・

仕事から帰ってきて部屋の扉を押すとき 飲んでいるグラスの中の氷が音を立てるとき 電車から眺める空に筆を軽く滑らせたような雲が流れていたとき 袖を引かれ戻される絵 灯りの少ない何処か寂しげな畦道 絡めた指先に月を映す指輪 冷たい夜の光りを帯びるピ…

境界を酔歩する男

昼間の暑さとはうって変わって 季節に逸れた秋虫が鳴いている 網戸越しに入ってくる冷たい風と 誘われるように月明かりの下へ 暗い街路地 空の明るさが際立つ 自分の足音が影から離れて きみが話してくれたきみのみた夢 そればかり考えてる 裸足になって石畳…

みらいのきみへ

わかってたよ はじめからそうだったんだ どこかで気付いていたし みてみぬ振りをしてきたんだ あまりに悲しいから 許せないから なんにもできなくなるから それがなによりも怖いから がらくたみたいに棄てられて しにもの狂いではいだして 塞がれた目でここ…

蒸し暑い夜は思い出してしまうんだ(2)

「あれ おかしいな・・・?」 「調子悪かったっけ?」 「いや・・・そんなはずは・・・」 「早く帰りたい」 「なんか俺寒くなってきたかも・・・」 数十回目でようやく掛かるエンジン 一抹の不安を覚える 「なぁ 帰り道なんだけどケンタ地図いい?」 「ん? …

蒸し暑い夜は思い出してしまうんだ(1)

昼間の熱を溜め込んだアスファルト 蒸し返して夜の風を暖める 湿った空と相まって夏を演出する 何人か誕生日の早いやつらは免許を取っていた せっかくだからドライブしようと事になった もう既に10時半位だったので乗り気なやつは少なかったが 結局は ぼくが…