2005-01-01から1年間の記事一覧

熱を出した子供

目を瞑ると聞こえてくる 遠いような近いような 近づいてくるでもなく 離れるでもなく 戯れるように 行ったり来たり 闇の足音 底の見えない足跡を付けながら いつもの部屋 いつもの枕 でも自分だけが違うみたいに 光を裂くような違和感 馴染まない空気 何も変…

道化の窓

目の前に二つに別れる道 もうどれ位経っただろう 暖かな風が過ぎ 眠る季節 蒔かれた種が開き また種へと帰る時 そこにいる自分 二つ目の窓に映った自分に怯える 最初の窓にはカーテンを 夜の窓は灯りを消して どこかの窓には杭を打つ 近づきたいのに その瞳…

流星群

気が付いたらここに居た 誰も居ないし 何も無かった 上を見ても下を見ても 綺麗な星の舟が流れていた どんなに忙しく働いていても いつかココに来る どんなに楽しく過ごしていても いつもココに来てしまう 自分の吐き出した暗い部分が膨れ上がって 見えない…

望むなら・・・ ね?

それしか考えてなかったんだ 過ぎ去る景色に頭が痛み始める 少し鈍くなった腕を必死に伸ばす 肌が風に溶けて空気がとろけ始める 流れる砂がまとわりつき 身体が時間と空間と混ざる 驚く顔が目に浮かぶ その時に話すだろう台詞さえ絵に描ける 物理的距離なん…

漏れる言の葉 浮かんで割れて 溢れて溺れる

ここに落とされる時に与えられた言の葉 今持ちえる残り僅かな言の葉 与えられるもの 中で起きる変化 漏れる言葉は軽く 記す言葉は儚く どこへ行くかわからない どこへも行きたくはない 結んだつもりの糸は 操られるため どうすればいいかわからない 教えて欲…

いつまでも回り続けたい どこでもいい 居てくれれば

太陽のように熱いあなた 月のように冷たいわたし あなたは朝になると仕事に出かけ わたしは夜になると仕事に出る それぞれを映す様に身体は変わる 毎日浴びる月の音 この仕事を始めてから それに祝福されたみたいに 肌は白くなった 体温も少し低くなった ま…

また会えるよ こんな夜だから

今日は久々に昔の仲間が集まった 何年振りだろう この先もうないかもしれない それぞれ人生を持っている 喋って笑って それぞれの歩いてきた道を重ね合わせた そこから見える一帯の電飾 それを見に来た人達 渋滞している車のテールランプも手伝って まるで世…

過去に繋がる時間

パーティの帰り道 皆を送り届けて自宅へ向かう道 自分用のディスクに切り替え 眼の奥に力を入れる どこまでも続く灰色の道と壁 同じタイミングで電灯が通り抜ける 祭りの後はいつもこうだ 侘しさが募る 窓にこの日までのこの日の記憶が映り出す 眼を閉じても…

或る朝 在る花

いつもの朝 少しだけ時間のある朝 いつもはコーヒーだけのメニューに 焼きたてのパンとハムエッグを コーヒーと焼きたてのパンの匂いが 部屋を鮮やかに彩る まだ起きてこない君 夜遅かったのかな 白いシーツが規則正しく上下している 未来を掴み今を生きる小…

妖艶香水

赤い蛇が体を這いずり廻る 鼻をつく水と香の匂いが篭った部屋 這いずり廻った後には光の筋が 朦朧としたアタマに触れる 初めからその獲物を狙っていたかのように それを絡め取る 嬉しそうに濡らし続ける そのぬるりと絡みつく感覚に眼を向ける 薄暗い部屋に…

人生に必要なもの? ロウソクとペンだよ

書斎に飾られ灯された無数のロウソク それと同じように置かれた無数のペン ペンのインクは時々でなくなったり 書き難くなったり ロウソクの火はちょっとした風で消えてしまったり 燃え尽きてしまったり 一人で全てを見るのは大変だけれど 二人ならそんなに難…

羽根を散らして鳴き続ける 夜の小鳥達

いつか慣れてしまうんだろうか いつか忘れてしまうんだろうか こんなに響き続ける声を 重なる旋律を こんなに暖かな肌を 重なる柔らかさを 光が射し込むまで 夜の闇に白い儚い羽根広げて 眠るのが勿体無くて踊ってみる いつか来るその時 考えたたくもないそ…

音と光が寝静まり 深海の奥でシーツの波が影を落とす

部屋の扉を開けると 行き場を失くした音と光達が寝息を立てている それらを起こさないように気をつけながら奥へ 音も無く彼女は佇んでいる 深海のような色に照らされて ゆるやかな波が浮かび上がる 全てが凍りつく時間の止まった世界 その海にそっと横たわる…

連鎖

街から少し離れた建設中の大きなビル 近い未来にこの辺りはオフィス街になる 大きな広告が約束された未来を流し続ける シンボルに価値を持たせる為 ここなら誰も来ないよって 連れてきてくれた 二人だけの秘密にしようって なんだか秘密があるっていう事が楽…

時間移動

夢の中で君を殺せたら 僕が時間を操れる唯一の場所 あの感覚が欲しい もし夢と現実の境が曖昧になれば 時間を戻すことも可能なのではないか 君に会いたい そして君を見つけた 亡くなる前のまま 景色や感覚に残像が残るが構わない 僕は君の細い首にもう一度手…

透明な季節

冬の空気が好き 凛とした 甘さの無い優しさのような 音の透る色 その空気は 体に纏うと 気持ちや身体を引き締めてくれる その空気は 吸い込むと 喉を通り体中を巡り 身を清めてくれる その空気は 視界を拡げてくれる 何時もより遠くまで見える その空気は 脳…

空の底に降り積もった月の砂

身体から小さな粉が抜け落ちていく 月のような光を帯びた粉 それは空へ落ちていく 生温く 肌に纏わり憑く まどろみ そのどろりとした中で 何を想う 指さえ動かすことは叶わず 声が聞こえることも無い 願いは遠く 光は消えゆく 螺旋に囚われ 気づく事も眠る事…

鈍く虚ろな者達

映ろう 遷ろう 虚ろう 眠らされたまま堕ちた都 誰も気づかないまま忘れる事で続く あの実の味はうっすらと舌に残っている 甘く痺れる様な あの地の景色はうっすらと瞼に残っている 美しく滲む様な あの人の感触はうっすらと肌に残っている 柔らかく溶ける様…

色鮮やかな音と共に 時間が戻る

クリスマスソングが街にひっそりと彩を添え始める 何時も最初にこのメロディを聞くと思い出す 安い給料でバイトに明け暮れていた頃 バイト仲間とする仕事も楽しかったし バイトが終わった後に 人気の無いところでタバコを吸いながら喋るのも刺激的だった 地…

小さい頃によく遊んでた あの人形・・・ 今どこにあるんだろう

皆僕の横を通り過ぎて行くよ 僕が皆に優しいから 君は心配するんだね きっと 僕がわがままを言わないから 君は心配になるんだね きっと 僕が怒らないから 僕が受け入れるから それだけじゃ物足りなくなって 君は心配になるんだね 基準がわからなくなって 僕…

秋夜月音

空を舞う月が 風と交じる紅葉を妖しく燈らせる 緋く染まった葉と 少し若い黄蘗の葉が擦れる 夜の闇を彩り 揺れて織り成す色彩 月の冷たく優しい粒子が妖しさを添う その月の粒がグラスに注がれた琥珀の水面へ落ちる 自身の影を僅かに紋が震わす 幾つかの粒子…

ミライッテドコナンダロウ… ・・・ 耳に掛けたデバイスから音楽が溢れている いつもの時間自分の好みのものをナレッジデータベースから勝手に選択してくれる いつもの場所 自分で決めることはもう何も無い だから何も怖くない 自分で抗うことなどもう何も無…

無常と無上

あの人は一週間振りに仕事から帰ってくる・・・ きっと疲れていてすぐに眠ってしまうのよね 私が居たら煩わしくないのかしら・・・ いつもの週末 何も無い時間 言葉なんて野暮なものもいらないわ ココニイルという事が感じられればそれでいいの それだけでい…

アンドロイド ノ ユウウツ

あなたを愛しているわ この世で一番 別に二番がいるわけじゃないわ 勘違いしないで そんな意味で言ったんじゃないのよ あなたを愛している事 これが私にとって唯一無二の真実であり事実なの あなた達に作られてから 数え切れない程の歳月が過ぎて たくさんの…

あなたの眼

その翡翠のような眼でわたしをみないで あなたは私の眼の奥に何をみているの? 全て見透かされていそうな不安が過るの そういえばここはあのヒトとよく歩いた道 ふと思ってあなたを見る 穏やかに微笑んでいるその眼 そこからは何を考えているかなんて解から…

僕という使命

花は種の頃から知っている 咲かせるという事を その為に生まれ その為に生きる 迷う事なく 虫は生きる事を悩まない 虫という事を果たす その為に生まれ その為に生きる 迷う事なく ふと歩いていて気が付いた 道端の名も知らぬ花 燃えるように赤く 誘うように…

繋がるという薬

自分の感覚や考えすら信じられなくて 脳がとろける様に甘くて 体の端が痺れるとろんとした時間 今感じているという事は確かなのか 現実なのにそのように思えない 現実の境目にぽっかりと空いた溝に落ちているかのようだ 知らなければよかったなんて笑うこと…

タネをまく人

ボクができることはタネをまくこと ほら これがタネだよ なんのタネかだって? どうしてそんなこと聞くの? それはタネが決める事だよ もちろん タネを育てる人も必要だよ なぜタネをまくのかって? ボクにはこれしかできないから そっと自分のカケラをたく…

五感が全て記憶している 感じて余韻を 追憶を

ついさっきまで君と過ごしていた部屋 ふとした死角に気配を感じ 振り返り 冷めた笑いが漏れる 君の気配で満たされた部屋 自分はとても小さいものに思える もしも外と内が境目だけで隔てられているのなら 君への思いの大きさに 自分が耐え切れなくなってるっ…

白い海辺の教会、潮風に誘われて

べとつく空気が嫌で部屋を飛び出した コーヒーを飲みながら高速へ 窓を開けて入ってくる新鮮な空気を歓迎する 僕に絡まりついていたぬるい空気を 高速の風が解いていく 海辺の教会に車を止めて一息つく フロントガラスからみる星空は まるで自分だけのプラネ…