或る朝 在る花
いつもの朝
少しだけ時間のある朝
いつもはコーヒーだけのメニューに
焼きたてのパンとハムエッグを
コーヒーと焼きたてのパンの匂いが
部屋を鮮やかに彩る
まだ起きてこない君
夜遅かったのかな
白いシーツが規則正しく上下している
未来を掴み今を生きる小さな手
僕を牽いてくれる
シーツの中にそっと戻す
ふとサイドボードの上に
よく目を凝らさないと気づかないような
目を逸らすと見失ってしまいそうな
それはそれは淡い一輪の花が咲いていた
ニュースを見ながら朝食を取る
そのテーブルにも
もしかしたらもっと咲いているのかもしれない
僕らがずっと前に蒔いた種
これからも何所かに咲く花
ひとつひとつ見つけて行こう
これからも途切れぬよう種を蒔いていこう
君が起きたら教えてあげよう
この部屋が淡い花で一杯になるといいな
そうなるように
透明な祈りを