male

泣いているきみがあまりに愛しいから

泣かしたい 泣いて欲しい 僕のために

きみをありったけ抱き締めた

「抱き締めて? きつく息もできなくさせて」 抱き締めたはずのきみは霧散した 腕の隙間から気持ちの狭間から現実とそれ以外の間へ向けて 訳がわからなくなって抱き締めていた手でそこをこじ開けた 綿菓子みたいなきみの残滓が肌に当たって砕け散った きみが…

或る男

いい男になりたい いい男で居たい いい男で在り続けたい 他の誰でもない君の為に 電気を消した部屋 シーツの上で膝をついてもぞもぞと動くシルエット 包まれるように口の中に入っていく 自分の尖った一部 そこから背筋を通って頭へ抜ける快感 器用に絡みつく…

言葉にできないものたち

輪郭や存在や境界や規律 ありとあらゆるコトやモノやヒトに引かれた線 断ち切って越えて引き直して 皮膚で別け隔てられている二人だから 互いの湿った温度をいとおしいと思う もし僕の声が絶える時が来たら 最後にあなたの名前を呼びたい その時僕は僕のその…

ゆらゆらゆらゆら

人は考える葦だなんて誰か言ってたけど 悩んで進む事のできない僕は何なんだろう 頭蓋の中の柔らかいその奥に閉じ篭る 悩んだり考えたり思ったりを行ったり来たりしている 生温い午後の細波だったり 風に吹かれる君の髪だったり いつまでも波に漂っていたい…

始まりがあれば終わりがあるなんて

いつからこんな風に考えるようになってしまったんだろう きっとあの時だってわかってる どうしようもない事なんてのはどうしてもあって それは本当にどうしようもなくて 受け入れることも流すこともできない きみの顔を見て安心して きみの笑っているところ…

何もない自分だから

君にあげられるモノなんてこの想い位しかないから 沈黙が気まずくて唇を塞ぐんじゃないんだ こうしたら少しは何か重なるかな変わるかなって 拙い気持ち伝えたくて

思いのほか

疲れていることに気付いてため息をつく そんなときになんでもない君からのメール なんだか嬉しい 本当になんでもないメールなんだけど

皮膚の記憶

深夜の駅前のタクシー待ちの行列 遅くまで大変ですねと心の中で労う ガラス張りのビルの2階から見る帰りの風景 人々の生活が溢れている 自分も埋もれている日々の風景 味のしないコーヒーを啜りながら思考は宙を彷徨う コーヒーの匂いに意識を集中してもフ…

ただ波にさらわれて自分が自分という液体になる

華奢な体を壊さないように抱きしめる 目一杯力を込めたいのを必死に堪える 目を閉じて肩に頬を寄せる 首筋からとろっとしたシロップみたいなあなたの匂いがする 頭の芯がじんわりと痺れる あ ダメだ 滑る指先に思考が溶けていってしまう もうどうしようもな…

夜の長電話

今日の出来事に自分の気持ちを混ぜ込んで話す 何かを落としたのか 「あ ちょっとまって」 不意にトーンの変わる携帯越しの声 思わず携帯の向こうを振り返る そこにいるはずなんてないのに 寂しいけど嬉しい背中がむず痒くなる感情

腕の中の君を護りたい - side m

明日の朝も君が隣に居てくれるから起きられる 一人だと冷たい朝の体も二人だと温かい 人っていう字は寄りかかっているんじゃなくて 腕枕して一緒に眠っているんだよ きっと

二人(3) - 契り - side m

「うん」 左手で彼女の頭を抱えながら彼女を下に 髪を撫でて舌を絡めながら少しずつ彼女の中にカラダをうずめる 暖かく濡れた入り口からゆっくりと包まれて行く 彼女のオンド 彼女のトイキ 彼女のシナリ 彼女のニオイ 奥まで辿り付いて一息つくようにキスを…

二人(1) - 交わり - side m

広めの和室 かすかに畳の伊草の匂い 部屋の裏からは渓谷の水の落ちる音 二つ並べて敷かれた少し冷たい布団 もぞもぞと腕の中でうごく小さな後ろ頭 そっと頭を近づける シャンプーとは違う風呂上りの女の匂いが脳の芯にまで拡がる 冷たい足先 絡んだ腿から熱…

悦び - 天国でも見えるのかな

押し広げていく 受け入れられていく 襞が擦れる 善がって捩れる肢体 埋め尽くしたときに漏れる声 赤く濡れた口と舌 うっすらと開いた空ろな目 もっと気持ち良さそうな顔診せて

大切な人との可笑しな日々に

限りある中でなんでもしてあげたい 優しくできる人も限られているし 優しくできる間も限られている だから大切な人には限りなく優しくありたい 夜に狂い咲いた月の元で戯れていたい 同じように大切な人に狂って心から咲き誇りたい 綺麗に咲いたならば大切な…

自閉症

「君は強いと思うよ なんていうか精神的に」 突然何を言い出すのか ぽかんとしている僕に彼女は続ける 「別に変な話じゃない真面目に話している そんな顔をするな」 他のどういうリアクションを取れと 「何の前触れもなくそんなシリアスとも笑い話ともオチを…

無理をしていないこの感じ

馴染んだなぁと思う ココロもカラダも

恥を捨てろ、考えるなバトン - side m

だってさ 【注意】 これは常人には精神ダメージがかなり大きいバトンです。 見る時は5回ほど深呼吸をし、覚悟を決めてから見てください。 以下のキーワードを絡める(もしくは連想させる) 口説き台詞を自分で考え、悶えながら回答してください。 答える生け…

恋愛障害物競走

酒臭い息が切れる 薄暗い道に垂れ下がる街灯が回る 肌に鼻腔に肺に突き刺さる冷気 はあっ はあっ 景色の描写なんて考えてる場合じゃない 苦しい 酔いがさらに回る なんであんなにヒールの高い靴で速く走れるんだ またひとつ知らない魅力を見つけた はあっ は…

眠りにつく温度 - side m -

ひんやりと静まった部屋のドアを開ける 鞄とコートと上着を投げる 狙った所に落ちるそれらを見て満足する 金属がぶつかる音が部屋に響く 灯りをつけてソファに倒れこむ 自分の生活する匂いに落ち着く 暖かいココアでも淹れて温まろう 冷え切ったシーツを思い…

自分が無力じゃない事の証明に

疼く瘡蓋を引っ掻いて傷をまた開かせて その傷を忘れたくないからか 自虐で被虐な頭を抱えて悩んでる 頭で理解して自分の中で完結させているつもりになって 何をしても誰も傷つかないから 誰かを傷つけても結局傷つくのは自分 だから好きにしていいんだよ 欲…

きみにとって特別で居たい

一緒に行こうよって言って差し伸べられた手 握り締めるととても小さかった けれど安心した だけど悔しかった それは本当はオトコの役目なのになって 嵐の夜に疲れた体寄せ合って毛布に包まってた 重たいカラダを引きずるように俯くきみ 力を入れすぎず緩めす…

恋愛依存症

なんで繰り返しちゃうんだ? ふっと現れては 何気ない言葉を投げかける 聞き流せるはずの他愛の無い会話 時折 その仕種とタイミングのお陰で すっと突き刺さって溶けてく 顆粒が口の中に含んだ水に溶けるみたいに 心に引っかかって全身に回ってく 魚の小骨が…

這い蹲って空を見上げて目を瞑る

毎日毎日薄汚い空気を吸い込んで吐き出す 耳障りな音を出す工作機械が犇めき合う 深い眠りの夢では世界は真っ白だった 空に描かれた星達の道 世界が忙しくなる前 その頃の人達はこの空に何を願ったんだろう? 流れ星がひゅうっと消えた 嘘と保身 これが仕事…

息継ぎ

肩で呼吸をする 体をうまく動かせない 手足には眩暈にも似た軽い痺れ 吸い込む空気は腐っているみたい 生ぬるく不快に肺を満たす 濁った目に気付かない振りをする 一緒に居るのは楽しいよ これからも一緒に居たいと思うんだ 本当に 本当に それでも自分が自…

オトコはいつまで経っても・・・

こっちはうまくいってるよ 怖いくらいね うまく馴染む術も心得ているし 目立たないように 好き勝手できるように 付かず離れずだと印象が薄いから 適度に明るく接してるよ 転校生が人気者になるための条件みたいなもんだよ 明るく楽しく笑顔でさ 本当の事は決…

探求者達 狂信者達

君を想って過ごす夜は 幸せだったんだ きっと 君の姿が目に止まるだけが全てだった 声に出すことも触れる事もできなかった 昨日の夜はあんなに言えたのに 昨日の夜はあんなに 何度でも繰り返した 嫌じゃなかった 空に捧げた祈り 少し返してもらおう 自らの心…

邯鄲の夢(2) - side m - 熱病

しているときになんで目を閉じるんだろうな 僅かな差の声や反応を見て探って行く いまだに苗字で呼ぶ掠れた声 肌蹴たブラウスに乱れた髪 唇を求めて腕を絡めてくる 震えるのを感じて強くする 達した後に足元がふっと消えて谷底に落ちるような錯覚 した後はな…

邯鄲の夢(1) - side m - 夏夜

フローリングのこざっぱりとした部屋 テレビも読みかけの雑誌もなにもない 大きく窓を開けて窓際に立つ彼女 窓から見える夏の空を纏って 泳がせていた目をこちらに向ける 香水が風になびいて漂う 一瞬時間が止まって目が離せなくなる 差し出された手に寄り添…