始まりがあれば終わりがあるなんて

いつからこんな風に考えるようになってしまったんだろう
きっとあの時だってわかってる
どうしようもない事なんてのはどうしてもあって
それは本当にどうしようもなくて
受け入れることも流すこともできない



きみの顔を見て安心して
きみの笑っているところを見て楽しくなって
きみと手を繋いで永遠を知って
きみの髪や肌や舌や膣の柔らかさに優しくなって
きみが寝息を立てるのを見てもっと愛しくなって
きみが手を振るのを見送って切なくなって



僕の頭の中とか心とかいう入れ物はすぐきみで一杯になって
溢れて流れて空っぽになって千々に揺れる
辛くてしんどくてもう嫌だって思うのに愛しくて
変わることを拒否してきた自分が
自分の中に誰か何か
他の何かが入り込んでくるのがそんなにイヤじゃなくなってて
イヤだった感覚が今は心地よくて
たぶんそれはきみだからで



きみの視線や髪に手をやる仕種や足の組み方
きみのつける香水や好きなお酒や遠くを見る目
きみの心臓の鼓動から呼吸のタイミングに
目を奪われ心は動かされて
僕はへたくそな人形劇みたいに
風で飛ばされる洗濯物みたいに



苦しくて狂おしくて切なくて愛しくて