2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

名前の無い夜 そんな夜なんてそもそも無いのかもしれない

存在しない悪意から逃げるように目が覚めた また何か悪い夢でも見ていたのかもしれない 鈍い痛みを紛らわすように目頭を抑える うっすらとかいた汗が冷えて背筋を震わせる 深く眠るための薬も大して役に立たない 今度は夢を消すか見なくて済む薬でも頼むとし…

強さと弱さ

いつの間にか強いねと言われる事が多くなった なんだか悲しかった 僕は弱い存在だと思って生きてきた 心を切り裂くような思いでそれを告白しても無駄だった それすらも強いんだと なぜだろう 強い人に憧れていた 弱い自分を蹴飛ばして宥めて慰めて一緒に眠っ…

最後に自分に残されたもの それだけで

空ろな眠りの中で再現される 偶然触れた小さな手の優しさ 繋いだ手の手首から先は何もなくて 自分は無機質なエレベーターに乗っている 腰位の高さに手摺が付いているだけの簡素な作り 足場は全体的に淡い緑色の光を放っている 周りには同じ無機質な材質で作…

アイラの音

空から落ちる星屑 それは鉄屑となりこの地に積もっていく 酸の雨に朽ちていく錆びた街 赤く焼けた煉瓦と赤く剥がれた鉄の骨 赤くくすんだ赤くぼやけた赤い街 滴る濁った水がコンクリートに滲んで染みこむ 雨の染みこんだコンクリートと同じ様な月が照らす 荒…

無くて七癖

彼のペースに合わせて歩くのもだいぶ慣れてきた 彼も私と歩くときは普段よりゆっくり歩いてくれている 私が彼と居る事で彼の足を引っ張っているのかななんて思ったりもする 煮詰まった仕事の苛立ちで深く呑んだ夜に聞いてみた事がある 彼は彼特有の照れたよ…

自閉症

「君は強いと思うよ なんていうか精神的に」 突然何を言い出すのか ぽかんとしている僕に彼女は続ける 「別に変な話じゃない真面目に話している そんな顔をするな」 他のどういうリアクションを取れと 「何の前触れもなくそんなシリアスとも笑い話ともオチを…

それを見ていた

あなたが頭を撫でてくれているような陽射し 目に掛かる前髪が照らされてきらきらしている 乗客が疎らな車内の床に通り過ぎる電柱などの影が走る 各駅停車ののんびりとしたリズム 目を閉じると浅い眠気が周囲の空気を変える ゆっくりと体を包む 少しずつ中に…

少年と竜

少年は竜に憧れた 誰をも近づけさせない凛々しさ 大空を力強く引き裂いていく翼 空気をどこまでも震わせる咆哮 少年は剣に怯えた 鈍く冷たい光を放つ金属 何かを壊す為のものと 青年は剣を取った 誰が為に 優しい心に突き刺さるのは己の剣 青年は竜を前にし…

旅するピエロ

染み付いた無難な笑い 自分の果てに 自分が笑っていることを意味を見つけられるの?

不眠症

いずれ眠れるだろう また目が覚めるだろう シャカシャカというノイズに眠りを妨げられて目を覚ます 耳から外れたイヤホン 音楽に合わせてプレイヤーの液晶にはイコライザが動いている その光を頼りに目薬を探す 乾いた目に染み込んでいく冷たい夜の感触 電車…

無理をしていないこの感じ

馴染んだなぁと思う ココロもカラダも