2007-01-01から1年間の記事一覧

ファック文芸部に移籍しましたhttp://neo.g.hatena.ne.jp/kennak/

揺れる蛍の幻 - the chemical light

なんで今日という仕来りがあるのだろう 悲しいことは忘れたいはずなのに 楽しかったあなたとのあの日を想う 揺れる蛍の幻 眠気覚ましに酸味のあるガムを噛みながらようやく辿り付いた ボクは罪悪感に襲われる あなたが怒るんじゃないかとそわそわする あなた…

遅れてきた彼女

夏が終わるな 深夜の高速を自宅へ向かい走っている最中 脳の端々から泡のように浮き出て来た思案 少しウィンドウを開ける なんとなく今感じた言葉を確かな現実にしたくて 金属の塊に切り裂かれる空気が悲鳴を上げている 車内に勢いよく雪崩れ込む夏の終わり …

好きなもの

壁に映った月明り 深夜に目が覚めてのそのそとトイレへ向かう ユニットバスの窓から月明かりが静かに入ってきている 壁に格子が掛かった窓の形に月の光が切り取られて貼り付けられている この明りが好きだ 蛍光灯や豆球の明りなどの人工的な明りとは比べ物に…

泣いているきみがあまりに愛しいから

泣かしたい 泣いて欲しい 僕のために

屍 -かばね-

不思議な事 理解できない事 その辺りに転がっている奇跡 その中のひとつに蘇った屍がある 彼らは別に人を襲ったりはしない なぜ蘇るかはわからないが彼らはほとんど害をなせない 無論モンスターなどでもない 人間と彼らの決定的な違いは鮮度だ 彼らは新しく…

喉の渇き

昨日のあなたが居なくなってもう随分経つ 心の中にもあなたはもう居ない あなたと別れてから あなたを早く忘れたかった あなたを二度と忘れないと強く思った 大切にしてきたあの時の今は今も額縁に飾ってあるのに 遥かから流れ着く何かを今日もじっと待って…

あなたの事を好きになった人を恨んであげる

身動き一つ取れない状態に固定されている スラっと差し込まれる金属製の異物 目を閉じる事すらできない 皮膚を破って柔らかい肉に突き刺さるナイフ 体中が焼ける ズブズブと 私の中が外に流れ出す 急所を外して何度も刺さるナイフ 意地悪なあなた ズブズブと…

あなたを思うこの気持ちそのものになれたらいいのに

傷つけることなく澱むことなくもなくて こんな事言ったらまた笑われるんだろうな

きみをありったけ抱き締めた

「抱き締めて? きつく息もできなくさせて」 抱き締めたはずのきみは霧散した 腕の隙間から気持ちの狭間から現実とそれ以外の間へ向けて 訳がわからなくなって抱き締めていた手でそこをこじ開けた 綿菓子みたいなきみの残滓が肌に当たって砕け散った きみが…

からっぽ

うっすらと開いた目で何かを見ている訳ではない ゆっくりと上下する胸もただ規則的に動いているだけ 部屋の中に置かれているオブジェクト 何も考えず何も見ず何も聞かない ただひたすらにそこにある 不意に外で大きな音が聞こえ体がびくっと震える あまりに…

風鈴

臨・・・と白一色の朝に眠たい耳に流れ込む 凛・・・と涼を運ぶ音が夏の空気をそっと揺らす 燐・・・と昼の終わりを告げる音が夏の夜に透き通る 淋・・・と寝息を見守るように一緒に眠るようにひとつ鳴る

だからせめて絞りたての上澄みをきみの舌に垂らそう

肌の下さらにその中にある生臭い欲望 脳とは別の所から湧き上がる粘り気のある気持ち それを伝えるには幾重もの神経や血管を抜けて来なければならない 指先に声になる頃には湧き上がった時の影すらなく 底に沈んでいく澱は静謐に重なり続ける こんな事をして…

いまだに続く死という明日に染込んで行く毎日

眩暈がするほど眩しい日差し ずっと続きそうなゆるい幸せに吐き気 息をするのもままならない夜に会いたくて 頭を抱えながら絶え絶えに送ったメール 数秒後の返信に涙がでるほど癒されて 柔らかい鉛筆で温かく塗り潰されて 色濃くなった目の縁に今日も風は鮮…

よくわかんないけど

階段を登っていくと見える景色が少しずつ変わっていってさ あと一歩あと一歩だけって登りたくなるんじゃない? 学生の頃なりたくなかった大人に多分なっているんじゃないかな? 少なくともあの頃の自分が今の自分をみたらどう思うのかな? それでも今の自分…

止めたって聞かないくせに

どうして私を選んだのか どうしても会いたかったから? それとも誰でも良かったの? なんてね あなたと過ごした毎日 可笑しくて下らない事で笑い合えた日々 いっぱい過ごした いろんな事したけど 覚えているのはあなたの事だけ 見ていたのは見て居たかったの…

むせ返る様な雌の匂い

が肌にじっとりと絡む 窓から入る昼と夜の間の風がオレンジから青へと変わる 風に誘われて体の熱が運ばれていく 太陽の世界と月の世界が混じり合う様をセックスみたいだと思いながら眺めていた 肩に回る手 私と同じ仕組みでできてるとは思えない 大きくてな…

砂時計

「一日しか記憶が持たないんだ だからきみの事を好きになっても 明日にはもう今日の僕は居なくなってしまう」 顔立ちが整った肌の白い男はそう言った 角度や光の反射によっては女性のようにも見える 対照的に大きく黒い瞳が濡れて揺れている 「その日で忘れ…

砂漠の夜

ねえ私の大切な人 あなたの事を考えては一つ指を折って あなたと出会ってから過ぎた日を数える 夏の雨の音が聴こえてくる どこか心地よくて守られているようでもあって 私はあなたを想いながら目を閉じて朝を待つ あなたの居る朝を待つ 私の中の砂漠でいつま…

砂の器

掌から零れてくよ たくさんの言葉が きみに言いたかった言葉や言った言葉たちが さらさらと音をたてながら零れてく きらきらと光放ちながら落ちてくのはとても綺麗なんだ 見惚れ魅入る その美しさ以外の感覚が止まってもその美しさを止める事はできない ただ…

或る男

いい男になりたい いい男で居たい いい男で在り続けたい 他の誰でもない君の為に 電気を消した部屋 シーツの上で膝をついてもぞもぞと動くシルエット 包まれるように口の中に入っていく 自分の尖った一部 そこから背筋を通って頭へ抜ける快感 器用に絡みつく…

ああ またかと思うと吐き気がした

この時期は眠りが浅くなる ただでさえ悪い寝付きに拍車が掛かる 睡眠が二日に一回程度になる事も珍しくない 人生のうちに数える位しかない衝撃を自分の中に突き刺していったソレ その全てと言わないまでもほとんどがこの時期に起きている この時期の熱い湿っ…

君のその細い指がキーボードの上で踊るリズムが何より心地良いんだ

何かが楽しくて充実してしまうと他の何かが疎かになるのかな 自分が更新した日記の一覧を見てそんな事を思った 自分が残した足跡 ブログを知らなかったら消えていったかもしれない足跡 雪原に残る小さな動物の足跡みたいに小さくはっきりと黒い点 書きたい事…

明晰夢

夢を見たんだ 突然何かに襲われる夢 すごく怖かった 必死で逃げたんだ そこから逃げた どこへ行くともなく とにかく走った この辺りから夢だって気がついたんだ 地面を蹴っている感触がなかったから それでも走ったんだ 妙なことに息は上がるし心臓も高鳴っ…

目を配ったら愛しさとかの意味が少しわかった気がした

未来っていう光り輝く粒が降り注ぐ 誰にも平等に公平に残酷に綺麗に 自分の意味の一粒を失わないように伝えられるように祈っている 変わっていない様で少しずつ変わっていく街並み のったりと車の通らない道を歩くねこ 自分の細胞の一粒までもがあなたの事を…

或る女

私には婚約者がいる。 けれど今、目の前にいる男は婚約者ではない。 友達のパーティで知り合った男。 別に特別な関係じゃない。 たまたま近くで会ったのでランチを一緒に取って、 話題だろうと思われる映画を見て、 感想を話しながらとろっとした淡いワイン…

独りが寂しいのは神様も一緒なんだよ きっと

時間が初めて進み始めた頃 たくさんの神様とたくさんの人間は仲が良かったんだって 遠い昔の御伽噺 小さい頃におばあちゃんがよく話してくれた 平和な楽園を想像して私はよく眠れた 彼は死んだ 何年か前に誰かが言ってた それは多分正しいんだ 私には彼が生…

電話を掛けようかと思って

やっぱりメールにしようと思って 何回か書いては消して 声が聞きたいだけで電話したらダメだよなぁって自分に言い聞かせて 結局パタンと携帯電話を閉じる 緑色の夜風に流されて見上げた空 踏み荒らされた雪模様

燃え盛る業火だけが身を焼く訳ではない

疲れた。 いつになく疲れが残っている。 痛む目頭を押さえながら自宅へ。 ここの所、執拗な嫌がらせと悪戯電話で妻の美悠はかなり参っている。 電話番号を変えたり等の対策は取ったが、どこから漏れているのか対して効果はなかった。 自分が自宅に居ない平日…

家に帰る理由

きみの「おかえり」が聞きたいから