2007-01-01から1年間の記事一覧

どこかで蝶が羽ばたくと

例えばたまたま見た時計の数字の並びが自分の誕生日と同じだった そんな他愛のないこと それを見なければ特に何事もなかったはずの事 こそっと顔を出した小さな小さな出来事の破片 それをたまたま見つけてしまい拾い上げてしまった その無邪気な笑顔に影が見…

いまはとおく

名前のない僕を だれか呼んでくれるのかな いつかどこかで 未だ聞かぬ自分の名前という意味 わかる日が来るのかな いつかどこかで 誰しもがそのままで愛されていた頃 唯愛されていたその日々 タダシサとかマチガイとか アカルイミライとかツライカコとか マ…

言葉にできないものたち

輪郭や存在や境界や規律 ありとあらゆるコトやモノやヒトに引かれた線 断ち切って越えて引き直して 皮膚で別け隔てられている二人だから 互いの湿った温度をいとおしいと思う もし僕の声が絶える時が来たら 最後にあなたの名前を呼びたい その時僕は僕のその…

どうでもよくなった夜に

蒼く大きなお月様 いつも変わらず照らしてくれる 優しい光の粒が降り注ぐ夜 その優しさが少し悲しかった どうしていつも変わらずに どうしていつもそんなに強いの どうすればあなたみたいに強くなれるの そんな優しい光で照らさないで 夜の隅に丸くなる小猫 …

ゆらゆらゆらゆら

人は考える葦だなんて誰か言ってたけど 悩んで進む事のできない僕は何なんだろう 頭蓋の中の柔らかいその奥に閉じ篭る 悩んだり考えたり思ったりを行ったり来たりしている 生温い午後の細波だったり 風に吹かれる君の髪だったり いつまでも波に漂っていたい…

あなたが私にとって大切な人だから

だから嘘をつくの 嘘をついた事は責めないでって身勝手に思うけれど あなたの為に嘘をついたのって言いたいけれど ・・・なんでわかんないのかなって寂しく思って私は黙り込む

始まりがあれば終わりがあるなんて

いつからこんな風に考えるようになってしまったんだろう きっとあの時だってわかってる どうしようもない事なんてのはどうしてもあって それは本当にどうしようもなくて 受け入れることも流すこともできない きみの顔を見て安心して きみの笑っているところ…

水鏡

降り落ちた雨粒が巻き戻されてくみたいに まあるい気泡が空へ吸い込まれてく 手元にまで届く太陽のやわらかさ 空と底を隔てる表層がゆるやかに捩れている 力の限り空の向こうへ向かって推進してみる きっと透明な壁越えて 纏まり付いた君達も連れて ねばねば…

傭兵達

背中が丸くなった自分の影を虚ろに見詰める 過ぎぬけて行く毎日に色濃くなっていく疲れ 積もった枯葉を小気味良い音で踏み潰しながら 「久しぶり」 背中越しに懐かしい声 「うん ちょっとふらふらしてた」 「一人でか」 「そう」 「たまには顔出せよ 骨拾っ…

何もない自分だから

君にあげられるモノなんてこの想い位しかないから 沈黙が気まずくて唇を塞ぐんじゃないんだ こうしたら少しは何か重なるかな変わるかなって 拙い気持ち伝えたくて

分水嶺

二人で歩いてきた道 歩くはずだった道 さよならって言葉で愛しさがなくなってしまえばいいのに 忘れたい忘れられない 肌の触り心地 一緒に眠る幸せな感覚 二人の体温

認めたくない自分の色

自分の赤い赤い色 血が上り滾る色 塗り潰したくて消し去りたくて その青く青い青さを重ねる 赤の上に塗りたくられた青 二つが混じって濁って化膿している 薬品の匂いが鼻につく 壊したくてやり直したくて ぐちゃっりしたそこに白をそっと塗ってみる 汚くて拉…

聞こえるはずのない秒針の音がデジタルの時計から聴こえる その一つの時間が増えるタイミングがわかる デジタルの表示が切り替わる 時計の針が動く 目を閉じるように開く空間 降り積もった何かに誘われ肩を叩かれたのか 同じ時間 同じ夜 同じ気持ち いつか来…

愚かにも気高い

心の隙間を埋めるように生きてきたのに 気が付いたら隙間の方が大きくなってた どこからどこが自分の実なのか

思いのほか

疲れていることに気付いてため息をつく そんなときになんでもない君からのメール なんだか嬉しい 本当になんでもないメールなんだけど

なんて言葉を書けたらいいだろう

夜の合間を縫って 夜と夜を繋ぎ合わせて ようやく辿り付いたこの夜 離れたくない離したくない夜 曇った目で探し当てた宝物 傷だらけの手に握られた硝子玉 撃ち抜かれたこめかみがズキズキと痛む 泣き腫れた顔で微笑んで 「あなたの手は壊すためにあるのね」

自分を殺す事

ビルの屋上から飛び降りる 本当の自分とやらを隠して生きる 社会の歯車になる 誰かの為に尽くす 生きることを続ける事は自分を殺す事から始まり続く ただ死ぬ事というのは取るに足らない事 けれど迫りくる運命を傍観している事は耐え難い

叫び

声を上げた 産声にも断末魔ともわからない叫びを 自分の持ち得る力をありったけ喉に込めて撃ち上げた 張上げられて空へ上る声は連なる岩山に響いた 灰色に繁る古代の森に木霊した 鳥達が一斉に羽ばたき空を覆い隠した 夏のスコールを降らせる雲がそうするよ…

皮膚の記憶

深夜の駅前のタクシー待ちの行列 遅くまで大変ですねと心の中で労う ガラス張りのビルの2階から見る帰りの風景 人々の生活が溢れている 自分も埋もれている日々の風景 味のしないコーヒーを啜りながら思考は宙を彷徨う コーヒーの匂いに意識を集中してもフ…

黒い風 黒い気配

ひたひたと足音がついてくる どこまでも どこまでも 足元に伸びる 黒い影 黒い犬 振り返ると気配だけ残して 一陣の風が吹く 風と共に 風の中に その気配を見張る 見つからないように 決して見つからないように 彼らの遠吠えが響いている どこに逃げても無駄…

あらゆる類の悪夢

日替わり分替わりで夢を見る 普段まったく見ない覚えていることのない夢 ざらざらとした砂の壁のような肌触りの夢 苦虫をかじったような歪んだ目障りな夢 目を覆いたくなるような惨状に彩られたサイケデリックな色彩 目を開けても残像が残る強烈な夢 今見た…

こんな単純なことで

安心できるのに そんな単純なことができない

わかってるけど

ちょっと切ない

ひとつになる

風に抱かれて 空に抱かれて 月に抱かれて 夜に抱かれて 君に抱かれて 自分は自分と云う感覚こそが全てなんだと思い知る 淡く際立つ境界線 うっすらとそこに確かに在って浮かび上がる 少しでも目を逸らすともう見えなくて

キスでわかる感覚

もっとしたくなる 肌を合わせたくなる ふわふわした予感

ただ波にさらわれて自分が自分という液体になる

華奢な体を壊さないように抱きしめる 目一杯力を込めたいのを必死に堪える 目を閉じて肩に頬を寄せる 首筋からとろっとしたシロップみたいなあなたの匂いがする 頭の芯がじんわりと痺れる あ ダメだ 滑る指先に思考が溶けていってしまう もうどうしようもな…

嵐の前の静けさ

窓をガタガタと揺らす強い風に気が付く 寝汗でじっとりとしたシャツが肌に不愉快にくっつく だるい体を起こしてシャツを脱いで放り投げる 眼を閉じても開いても変わらない真っ暗 額に残る熱と開けっぱなしのりんごジュース 爽やかに甘い匂いに乾いた喉を潤す…

安っぽいし使い古されてるし嘘っぽいセリフだけど

あなたじゃなきゃダメなんだ

和音

アコースティックギターのリフが響いている 情熱という言葉を音楽に変えたような赤い熱い音 氷が衝突する小気味良い音がシェーカーから聴こえる 洗練された技は機械よりも正確な音を刻む青い硬い音 週末を愉しむ人の話し声と笑い声に自分の声も混じって 椅子…

なんだか

冷たいベッドに入る気になれなくて 寂しいとか空しいとか そんなに大層なものじゃなくて うっすらともやがかかったような気分