叫び

声を上げた
産声にも断末魔ともわからない叫びを
自分の持ち得る力をありったけ喉に込めて撃ち上げた
張上げられて空へ上る声は連なる岩山に響いた
灰色に繁る古代の森に木霊した
鳥達が一斉に羽ばたき空を覆い隠した
夏のスコールを降らせる雲がそうするように辺りは一瞬暗くなった
やがて波紋が消えるように再び辺りは静まり返った
舞い降りてくる鳥の羽音と遠くの波の打ち寄せる音
僕は元からそこに生えていた樹木のように立ち尽くしていた