2007-04-11 皮膚の記憶 male 深夜の駅前のタクシー待ちの行列 遅くまで大変ですねと心の中で労う ガラス張りのビルの2階から見る帰りの風景 人々の生活が溢れている 自分も埋もれている日々の風景 味のしないコーヒーを啜りながら思考は宙を彷徨う コーヒーの匂いに意識を集中してもフロアのざわめきは変わらず 皮膚の薄い所が時折思い出す感触 のっぺりとした殻だけの体に突然一線滑る電流 鮮明で新鮮で懐かしくて甘くて思わず身をよじる もし二度と忘れられないのだとしたらなんて残酷なのだろう 窓に映る自分は他人のような微笑を浮かべている