どこかで蝶が羽ばたくと

例えばたまたま見た時計の数字の並びが自分の誕生日と同じだった
そんな他愛のないこと
それを見なければ特に何事もなかったはずの事
こそっと顔を出した小さな小さな出来事の破片
それをたまたま見つけてしまい拾い上げてしまった
その無邪気な笑顔に影が見える
真っ直ぐな優しい言葉に裏が聴こえる
心の中の暗い暗い部分が肩に手をかけ囁きかける
偽り偽られる毎日を重ねて黒くなっていく
いつからこうなってしまったのだろう
どうして見つけてしまったのだろう
気にも留めないはずだったのに
嵐の前の静けさのように心の水面に涙が落ちた