聞こえるはずのない秒針の音がデジタルの時計から聴こえる
その一つの時間が増えるタイミングがわかる
デジタルの表示が切り替わる
時計の針が動く
目を閉じるように開く空間
降り積もった何かに誘われ肩を叩かれたのか



同じ時間
同じ夜
同じ気持ち
いつか来た道?
窓に弾かれる雨
少しだけ窓を開けて雨の匂いを吸い込む



そう前もこんな事を考えてこんな風にした
車内に流れる音楽
走っている速度
着ている服
雨粒の落ちるタイミング
重ねてきた時間
何もかもが違っているのに



運転をしている自分には見えないはずの何か
ぬるい感覚が目の裏で燻ぶって
強くなった雨の音にデジタルの秒針の音は立ち消えた