明晰夢

夢を見たんだ
突然何かに襲われる夢
すごく怖かった
必死で逃げたんだ
そこから逃げた
どこへ行くともなく
とにかく走った
この辺りから夢だって気がついたんだ
地面を蹴っている感触がなかったから
それでも走ったんだ
妙なことに息は上がるし心臓も高鳴ってた



それは追いついてきた
自分の影のようにぬるりと背後から襲ってきた
切れ味の鋭い日本刀のようなもので右手を斬られた



振り返ると返り血を浴びた君の顔
赤子をあやすように優しい顔してた
ぞっとするほど綺麗だった



それから逃げては斬られてを繰り返して
僕は動けなくなった
もう首しか残ってなかったから
動けなかったんだ
すると君は普段の君の顔に戻った



僕に笑い掛けるその顔に
美味しそうにご飯を食べているときに顔に
手を繋いで歩いているときの顔に
何か話し掛けてきているんだけど
もう何も聞こえなかった
視界もぼやけて来てリアルな夢だななんて思った
夢の中で眠りについた僕は現実で目を覚ました



もう少し君に抱かれて居たかったな