2006-07-31から1日間の記事一覧

邯鄲の夢(1) - side f - 熱夜

蒸し暑い私の部屋 風の流れを良くして日中に溜まった熱を逃がす この季節は窓を開けたこの場所が一番気持ちが良い いつもの癖で空よりも下にあるビールの自販機に目が行く まだ灯りがついている 今日は一人で帰ってきたんじゃなかったっけ じめじめと鬱陶し…

邯鄲の夢(1) - side m - 夏夜

フローリングのこざっぱりとした部屋 テレビも読みかけの雑誌もなにもない 大きく窓を開けて窓際に立つ彼女 窓から見える夏の空を纏って 泳がせていた目をこちらに向ける 香水が風になびいて漂う 一瞬時間が止まって目が離せなくなる 差し出された手に寄り添…