鈍く虚ろな者達

映ろう
遷ろう
虚ろう



眠らされたまま堕ちた都
誰も気づかないまま忘れる事で続く



あの実の味はうっすらと舌に残っている
甘く痺れる様な



あの地の景色はうっすらと瞼に残っている
美しく滲む様な



あの人の感触はうっすらと肌に残っている
柔らかく溶ける様な



あの光る目はうっすらと心に感じられる
鋭く押し潰すような



追いつきたくて
戻りたくて
いろんなものを創り続ける
世界を近づけようと



遠くまだ見ぬあの景色に思いを馳せ
夜の闇の見えない視線に怯えながら



美味しいと感じるのはあの実を食べたから
美しいと感じるのはあの景色を覚えてるから
寂しいと思うのはあの人を感じているから
闇が恐ろしいのはあの眼が忘れられないから
善も罪も一緒に



映ろう
遷ろう
虚ろう



不変で普遍という蜃気楼を目指して方舟は行く