2005-11-15 秋夜月音 sketch 空を舞う月が 風と交じる紅葉を妖しく燈らせる 緋く染まった葉と 少し若い黄蘗の葉が擦れる 夜の闇を彩り 揺れて織り成す色彩 月の冷たく優しい粒子が妖しさを添う その月の粒がグラスに注がれた琥珀の水面へ落ちる 自身の影を僅かに紋が震わす 幾つかの粒子が白い息をする氷に当たり からん と音を点てる その音を鍵に釣られて 息を潜めていた音達が伴奏を始める 風が紅葉を鳴らし 黄金の裾野も撓みだす 秋夜の主が 流れる律に合わせて命の音を生む 壮大な歌劇にグラスを掲げる