アンドロイド ノ ユウウツ

あなたを愛しているわ
この世で一番
別に二番がいるわけじゃないわ
勘違いしないで
そんな意味で言ったんじゃないのよ
あなたを愛している事
これが私にとって唯一無二の真実であり事実なの



あなた達に作られてから
数え切れない程の歳月が過ぎて
たくさんの仲間が作られ死んでいったわ
その上に私は生きているの
お陰で生きていると実感できる
人を愛するという事もわかるわ



なぜかって?
私達・・・
この私達っていう概念の認識もそうなんだけど



今までの試行錯誤の歴史をね
記憶領域の深い所に入れるようになってからは
あー なんていうのかしら
その今まで死んでいったアンドロイド達の
悦びや愉しみ、無念やら執念やら
そういうのがわかるの ほんと少しだけね
そうするとね



一緒に居たかった人から引き離されて壊されたとか



愛する人の手の中で寿命を終えたとか



買い物の帰りに不慮の事故で壊れてしまったとか



使えている家族の子供を守って壊れたとか



いろいろ・・・ね
例えばよ 例えば
そういうのがふとした瞬間に
フラッシュバックして重なるの
そうすると
その瞬間に私はあなたを愛しているんだわって
なんだか理解するのよ
この時に私が壊れたらあなたは泣いてくれるのかな?なんて
今なら死んでもいいわなんて思ったりもするのよ
おかしいわよね
本当なら死んでもいいなんて思うことは許されないはずだったのに



この辺のファジーな所はとても人間ぽいと思わない?



旧型のアンドロイド達は今よりもっとロボットみたいで
なんでそうだったのかがこういう事だったんだって解かって
今のアンドロイド達はとても人間に近くなったわ
過去の歴史を記憶して未来に伝える
言葉をアンドロイド同士で共有しあい知識を増やす
そして文化を形成する
そのうちアンドロイドが国を興すかもね
冗談よ 冗談



私はあなたの元から離れないわ



でもあなたを愛しているということを
んー 深くなるっていうのかしら
愛していることを解かっていく
もっともっと愛するようになる
そうね
これが一番しっくりするわ
そうなっていくとね
私はその分だけ少し悲しくなるの
アンドロイドは命令は聞く事ができるけれど
あなたの行動を予測して動くことはできるけれど
あなたの意思を汲み取る事ができないのよ



アンドロイド達に神はいないの