連鎖

街から少し離れた建設中の大きなビル
近い未来にこの辺りはオフィス街になる
大きな広告が約束された未来を流し続ける
シンボルに価値を持たせる為



ここなら誰も来ないよって
連れてきてくれた
二人だけの秘密にしようって
なんだか秘密があるっていう事が楽しかった
誰にも言っちゃいけない
なんだか悪いことのようでドキドキしてた
人の気配がしたら隠れて逃げ回った
居場所だと思った
狭いところに入り込んで息を潜めた
走り回ったお陰で荒い呼吸
それ以上に近くにある君の顔に心は高鳴った
どうすればいいかなんて知ってたし
試してみたかった
早く大人になりたかった
でもきみはそんな素振りは見せずに
そんな事よりもっと遊ぼうよって顔してた
何もしらない無邪気な顔で笑ってた
なんだか私が汚れている気がした
なんだか汚しちゃいけない気がした
とても綺麗で残酷な笑顔
眩しくなるほど濃くなる私の影



久しぶりに通りかかったその場所
もうあの頃の面影なんて何も無いけれど
やっぱり思い出すんだ
家に帰ったら比べてやろう
思い出の笑顔と今のきみの笑顔
そう思うと私も自然に口元が緩む
悪戯をした子供のように