音と光が寝静まり 深海の奥でシーツの波が影を落とす

celame2005-12-19

部屋の扉を開けると
行き場を失くした音と光達が寝息を立てている
それらを起こさないように気をつけながら奥へ



音も無く彼女は佇んでいる
深海のような色に照らされて
ゆるやかな波が浮かび上がる



全てが凍りつく時間の止まった世界
その海にそっと横たわる
波がさらりと揺れる



僕の額を撫でる彼女の手も
その世界と同じように青い熱を伝える



抱きしめると砕けて散ってしまいそうで
放って置くと溶けて無くなってしまいそうで



とても柔らかくとても冷たい唇
しなやかで尖った細い指
僕の体を彼女の指が雪が舞うような音を発てて滑る
彼女の全てが僕の熱を奪っていく



僕の白くぼんやりと灯る熱を吸った彼女は
子供をあやすように微笑む
溶け掛かった氷のように一筋の汗が落ちる
心地よい冷たさが誘う
さらに深い所へ眠り落ちていく