桜 脳を暈す

風景を滲ませながら広げる春の匂い
桜の花のひとつひとつが視界を塞ぐ
ぼんやりと流れる時間



きみという素地
肌触りよく人を包む
わたしへと染め変えて上げる
きみを抱きしめる
色を確かめるように
少しずつ
確実に
吸い付くように変わっていくきみの
その変化する過程に心酔する



柔らかな桜の咲く季節
麗らかな日差しの午後
変わってしまったきみ
変わらなかったわたし
気付かなかったきみ
笑いながら手を振る
桜に魅せられて