名も無き丘

紅い爪に細い一本の煙草
気怠るく煙を吐き出す
こっちに気付いて微笑む彼女



穏やかな口元に夜に映える挑発的な唇
彼女が描きだす影としっとりとした動き
どこか危うくて
霧のように儚く佇む
その霧の中に迷い込む



人のものだと思えば思うほど欲しくなる
吸い付くような肌
受け入れるときの切なげな表情
俯いた時の冷たい眼
悲しい色の唇
快楽と絶望を与えてくれる彼女
刻まれた遺伝子みたく螺旋状に駆け巡る
背負ったそれに張り付けられ楔が打ち込まれていく



最後の槍は彼女の手の中に