燻り続ける色褪せた炎

celame2006-03-23

座席は数人程度しか埋まっていない
電車に揺られながら遠くの景色をみてる
心地よいゆらぎと小さな窓



真上に上がった太陽が街を照らす
白と黒のコントラストがくっきりと浮かんでる



ふいにあの夜のあの部屋を思い出す
空間がカーテンを引かれるように開く



体中の水分が毛穴から吹き出るような暑さ
風の流れさえ気だるく淀んでた


仕事帰りの静かな夜
よく冷えたアルコールを買った
呑みながら歩いたあの道
近くを通る電車の音が定期的に響く
開けた眺めの良い所から見た花火



部屋に着くとそれしか考えられなくて
深く眼を瞑って
鳴り続ける互いの携帯の電源切って
甘く肌を噛んで
服を脱ぐのも煩わしくて
抑えるように漏れる声
個人なんて境界が億劫で
絡み合う指
流れる体液みたいに溶けてしまえばいいのに
果てなく求めた



ずっと忘れていた
そんな情景
次の駅で降りる頃には忘れてしまう記憶の底の欠片



小さな窓の景色を見ながら