過去に灯す儚い炎 自分の弱さ、夢、無念、記憶、心

僕が久しぶりに戻ると
いつのも場所にいつもの仲間はなく
彼が居ただけだった
僕を待ち続けてくれたらしい



全てを聞いて頷く事しかできなかった
もし僕が居ればこんなことにはならなかったと彼は付け加えた



・・・



何日経ったのだろう
暖炉に薪をくべながら
火を見ていた



ここにあったはずの火
あの頃
皆で世界中を泳ぎまわって
世界なんて簡単だって笑って
空さえも泳げるって思ってた
月まで誰が一番早いか競争しようなんて言って
星や太陽すらたくさんある玩具の中のひとつだった



荒涼とした土地を抜けて見た水飛沫を上げる虹の掛かる滝

太陽の光が襲う砂漠を越えて見つけた小さなオアシス

嵐の吹き荒れる岩場を抜けて辿り着いた穏やかなせせらぎ

星さえも掴めそうな夜に大きな樹の下で聞いた月の歌

木々の間をただただ走り回った鬱蒼と茂る深い森

白く穏やかなな光が立ち込める建物

暗く湿った洞窟の中でみつけた温泉

赤い崖で聴いた風の叫び

雪と氷に包まれて時の止まった世界の果て

紅葉と一緒に空に浮かんでた翡翠でできた月

荘厳な空に触れて言葉もでなかったあの時




君と泳いできた世界
二人ではとても狭かったのに
一人では広すぎるよ
仲間と泳いできた世界
皆ではとても楽しかったのに
今は笑い方を忘れてしまったよ



皆で薪をくべて燃やしていたはずの火
もう少しだけ灯しておくよ
火が消えたら
全部ウソになりそうだから
いつか
それまで
昨日で居させて