その手で壊せるから愛しく思えるのよ

私は彼の苦悶に歪む顔が好きだ
私は達する時に彼の背中に思い切り爪を立てる
硬く逞しいそれのように
隆起した筋肉
一点に穴を開けるとそこから全て流れ出して
何もかもを崩れてしまいそうに儚い男の体



私の鋭い爪が彼の体に痕をつける
その瞬間の彼の顔を見て



私は何よりも
満たされ
安心して達する事ができる




終わった後に彼の背中についた無数の傷跡
幾重にも入った赤い線に思わず喉が鳴る
カーテンから零れる朝日が細く彼の背中を照らす

彼の鼓動を伝える喉が私の気を遠のかせる




彼を喰い契りたい衝動を気付かれないように抑える