箱庭

地面から突き出した鋼鉄の建造物
まるでウィルスが暴走して
秩序が組み替えられてしまったように
正しかった姿とは似ても似つかない
ただ生きるという事だけを表した形
吸い尽くし傷つける
その柱の中の小さな一つの部屋
まるで誰かの作った虫かごみたいな
そこから見える景色に酔って
全部が綺麗に見えて
左手に持った細いグラスの中でシャンパンの泡が弾けた



良い夜だよな
この上なく
いつも思う
なんで満たされないんだろうな
求める事すら止めた筈なのに



シャワーの音が止む
ここから逃げ出したくなる
高いところから飛び降りる気持ちがわかる気がする
きっと気持ちいいだろう



もう少し見ていたい
脳を溶かす様な時間を