影漏

物心付く前から
ずっと一緒にいた



寂しいときも話しかけたりしていた
昼は太陽の光で
夜は月の光で



ある晩
彼女を抱いているときに彼はこっちを見て笑った



僕の腕の中で眠る彼女の横で
「カノジョ ハ ボク ヲ アイシテルンダ」



僕が彼女を抱いているときは彼も彼女を抱いている
僕の手と彼の手が重なる



僕は怖くなり
自分から世界を見る事を奪った
僕の影は僕の世界を支配した