祭りの後

夜遅くまで残って企画、運営してきた祭事
今日のこの時間を過ぎれば終わってしまう
グラウンドの中央に組まれた木材
今日までの熱の終着点みたく燃えている
炎の力に当てられ周りで踊る彼ら
薄暗い教室でビールを飲みながらそれを見ている
運営委員は皆出払っている為ここには僕しかいない
当日までには全てやり遂げてこの瞬間を待つ為に今日を過した


がらっと開くドア


「あ いたいた」

どきっとして缶を隠す


「どした? 行かないのか?」

手振りで外を指す


「ちょっと疲れちゃって」

大きく伸びをする


「そうか」

まだ心臓が高鳴っている


「お酒臭いよ?」

やっぱり・・・


「今日が最後だしさ」

諦めて缶をもうひとつ出す


「ありがと」

窓際に伸びる影ふたつ


「あそこで楽しそうに踊ってるの先輩の彼女じゃないの?」

青く濡れた眼が見据える


「そうだよ」

さっきまで見ていた


「先輩こそ行かないの?」

ぬるいビールを飲み干す


「苦手なんだ あーゆーの」

肌寒くなってきたので窓を閉める


「ふーん」

影を重ねる


「今は静かにあの炎を見て居たいんだ」

狩りに疲れた男達を癒すような


「このままで」

背中に手を回す



燃え上がる炎を絶やさないように