見えない絆

小さい頃からずっと一緒でさぁ
背格好も似てたよね
体育の授業ではいつも競争して
ふざけあってて途中から喧嘩になったりもした
別々の高校に入学してからも時々会って話をした
変わっていく街の風景の中で変わらない約束
そのベンチで夜を待っていたら隣にきてくれた
学校の帰りに通りかかったらきみが座ってた
もう十年以上だね
あと何十年後もここで会いたいね



約束だけを抱きしめるようになってから数年
あの場所もなくなるみたい
張られたロープと瓦礫の山をみて思い出してさ
最初から最後までビデオの早送りみたいな景色が流れた
悲しいんだけど片方の目からしか涙が出なかったよ
大事な人を少しずつ失って涙も枯れたのかな
これは強くなったって事なのかな?
ロープを掻い潜ってベンチの在った所にしゃがみ込んだ
ポケットの携帯が鳴って電話にでる



「約束守ってくれたんだね」



!?


「・・・!え? もしもし! もしもし!?」



ツーという電子音が聞こえる



「なんだよ・・・」



空を仰いで舌打ちする
乾いていた瞳が潤う
片方だけ静かに流れる涙
なんだかおかしくって声に出して笑ってみた