褪せて慣れて

笑った貴方の顔と声を想像する
輪郭のぼやけた表情に聴こえない声
デジタルに変換された情報なんかじゃ足りない



どれ位離れているんだろう
独りが寂しいんじゃなくて
貴方がいないんだって思うから



貴方に会いたいと願う熱い気持ち
ぐるぐると渦巻いて少しずつ大きくなる狂気
何れその渦に自分が飲まれてしまうんだろうか
色褪せていく日々のように枯れてしまえばいいのに



無常な世界に染まりゆく心
気がついたら埋もれている
心地よいのかもしれない



貴方の笑顔も
喜ぶ声も
手を繋いだときの暖かさも
抱きしめたときの気持ちも
流す涙を拭った指も
後ろから抱きしめてくれた腕も
全てに慣れてしまったら
何も感じなくなるのかな
今夜は思い出せる限りの貴方と眠る