白(2) - 白という色で塗りつぶされた部屋

celame2006-01-17

開け放たれた窓から青い風がさらさらと入ってくる
穏やかな日差しがシーツに落ちる



所在無く存在する僕の横に活けられた一輪の花
玉響な美を使い捨てられる事で悠久を得る空間
一瞬の苦しみから逃げて悪戯に時間を消費する僕



窓から子供たちの遊ぶ声が聞こえてくる
数え切れないほどの生と死の歴史を綴って来たこの部屋
明日へ歩くにはあまりに悲しすぎる
枯れ散る運命にひとひらの花弁が落ちる



握り締めた無色なガラス玉
霞掛かった映らない瞳
そこから覗いた世界は
少しイビツに歪んでいて
狭く息苦しくて
とても落ち着いた



この小さな窓から飛び立てれば
今の自分ではない本当の自分になれるの?
いやらしく誘うようにカーテンが揺れる
背中の傷が疼き赤く染まる
明日の朝にはまた新しい花が置かれている事だろう
いつの間にか握り締めていたはずの瞳は床に落ちて割れていた