白(3) - 誰が為

隣に管に囚われた女の子が来た
もう光を映していない力の無い瞳
人として生きているのではなく
機械に生かされているような
小さなその手に握られたひとつの翼



切り離された夢の続き
あの頃のように君を抱きかかえる
手を繋いでいた昨日の彼方
二人しかいなかった
何も知らなかった
君の願いや欲しかったものが何かなんて気付かなかった
僕の翼を引き千切ったのは君だったんだね
空を飛びたかったから?
君も知っていたはず
片翼の天使は空へは飛べないって
空へ放たれた瞬間に堕ちてしまう事
紅い闇に染められて
光を映さぬ目は今どんな景色を見ているの?
一瞬を永遠になんてできないって解かっていた筈なのに




事切れの鐘が鳴る
ただ理由なく流れる止められない涙
瑠璃色に変わった君の瞳を僕の宝物に