白(1) - 君の居た夢

見た事の無い場所だった
乾いて割れた大地
裂け目から噴出す炎の柱
巻き起こる砂嵐は肌を切り裂いて
ボロボロになった布のようなもので体を包んでた
体中に傷があるみたい
けれど痛みは無い



向こうから君が
よく見ると瞳の色が瑠璃のようだった
その君に似た人が
君の甘ったるい声そっくりに言うんだ
これを落としましたよって
手には血塗れの白い大きな羽根が握られていて
戸惑っていると唇をそっと重ねてきたんだ
体中の力が抜けて行き
それはとても気持ちよかった
快楽の波が唇から押し寄せて
僕の存在を押し流してしまうほどに
立ち尽くしている彼女を抱きしめた
とてもやわらかくて
背徳の果実を噛み締めるように力を込めた



微笑む彼女
それを見て
例えそれが
神に逆らおうとも
悪魔に魂を売ろうとも
二度と空に帰れなくても
翼を失ったとしても
彼女の傍に居ようと決めた
力の限り叫び続けた
消え行く意識の中で
背中に僅かに残った根は燃え尽き
罪深き体に生まれ変わった僕
君の居る世界で目を覚ます