癒えない傷

誰にも触れない傷を抱いて
霧の夜に光りを放ち
その傷口からそっと流れる涙



忘れそうな色彩は
いつか眠る前に聴いた童話
それは
遥かな昨日
極彩色の世界で
好きな色を飛び跳ねさせてた頃
世界と初めて触れ合った時
うっすらとしたその記憶に憧れは募る



雲となり消えていった友
もしもここから逃げられたら
逃げても構わない
責めやしないし
止めもしない



それでも一歩進もうと踏み出す
足を力無く引き摺る
体を支える事もできずに崩れ落ちる



今もう一度自らの力を
自身の為に使おう
今までの理由なんてもういらない



強くなった雨に筆をかざして
濁った光を洗い流そう
傷を雨にさらして
その痛みこそ誓い