雪と女と

celame2006-01-24

少しの休みが取れたのでお気に入りの秘湯へ
高速を飛ばして
トンネルを越えて
雪景色の中をひた走る
途中でペンションで必要そうな物を揃える
この時間が一番楽しいのかもな



ペンションの駐車場に車を止めるとオーナーが出てきた
久しぶりの再会に握手を交わす
日が落ちる前に秘湯へ
ペンションから少しした所にあり
車等では入れない
それ故に極上の温泉を独り占めできる
山道の途中で白いコートを着た女性が蹲っていた
雪道に足を取られてひねったらしい
ひねった足に温泉はよくないと言ったのだが
行くといって聞かない
仕方が無いので肩を貸して連れて行く



混浴という事を思い出したのは小屋に着いてからだった
バスタオルを巻いて湯船まで連れて行く
一人で愉しむはずだったのにな・・・
それにしても喋らない女だな・・・



ペンションに戻り部屋で夕食を愉しむ
外の吹雪を聴きながら本を読んで夜が更ける



こん・・・こん・・・



ドアをノックする音



返事をしてドアを開ける
彼女だった
酔っ払っているのか目つきがとろんとしている
これも縁と言う事で酒を酌み交わす事になった
一人で飲むよりはいいかもな



酔いも手伝って
少しずつ話をするようになった
時折見せる覚悟を決めたような表情
何も無い人なんていないよな
別に彼女の何かを知りたい訳じゃない
触れた彼女の手は
透き通っていて白すぎた
身震いするような冷たさ



屋根の雪の落ちる音で目を覚ます
昨日の吹雪が嘘のように晴れている
彼女の姿はなく
儚い雪のような彼女の香りが僅かに
テーブルには雪の結晶のようなピアスが置かれていた