滲色

鬱屈な灰色の街並み
億劫に見上げた空さえも
駆け巡る情報が時折ノイズを散らす
風が濁り淀むビルの隙間を足早に歩く
すれ違う人達も同じように
コートの襟を立てて
帽子を深く被り
マフラーで口を覆って
下を向いている
街も空も見ないように
自分を隠すように



その中に埋もれている
生温くてべとつく
甘ったるくて生ぬるい
そんな毎日
このまま
何もかもわからなくなって行くのかな
降り積もる灰に埋もれながら末を待つのかな
ふと考えて背筋に冷たい汗が流れる
来る筈の無い何かに怯えて後ろを振り向く
何に追われてるのか
細い影が朝日に伸びて
せっかくだから
今は朝焼けを見ながら歩いていこう