缶コーヒーが飲みたい時

celame2006-01-06

あなたが喋ると
思わずその口元に目が吸い寄せられる
僕の時間が止まる
僕が忘れてきたものを持っているあなた
笑い合えると繋がった気がする



階段を上り外へ出ると丁度雨が降ってきた
土砂降りだ
地下の駐車場の入り口まで走る
途中の橋を渡るときにふと目を奪われる



あなたが雨を身に纏っている姿に
その暖かな雨は
ここから見える街全体をヴェールで包む
点滅する信号
誰もいない交差点
車の通らない道路を照らす街灯
雨に喜ぶ街路樹
その僕の景色の中を走るあなた



思えば雨に降られて走るのも久しぶり
昔も同じような事があった気がする
あのときと同じように暖かい缶コーヒーでも買うか



「はやく! 凍えちゃうよ コーヒー コーヒー 暖かいの!」
そう言って手を差し伸べるあなた
やっぱりという笑顔で僕は手を重ねる



「何にやにやしてるの? 気持ち悪いよ?」
・・・僕の気持ちなんてわからないんだろうな
でも暖かい缶コーヒーは飲みたいな
いまここであなたと