珈琲の淹れ方

celame2006-01-20

窓を優しげな雨がしっとりと濡らす
流れる粒を見ながら
火にかけたポットに目を配る
ことことと
ゆっくり自分のペースを守るように



もう一つの沸騰したお湯をカップに入れる
カップが温まるまで少し待つ
フィルターにマンデリンとモカを半分ずつ入れる
挽きたての香りがする
ポットがぴーっと汽笛のような音で知らせる



カップからお湯を捨てて
湯気の立つカップにフィルターを被せる
フィルターの端っこを円を描くように少しだけお湯を垂らす
30秒程フィルターを馴染ませ、粉を蒸らす
この時にふわっと香ばしい新鮮な匂い
これが本当の淹れたての香りだと思う
珈琲を淹れる者だけの特権、至福の香り
少し名残惜しいけれど
蒸らし終わったら満遍なくお湯を注ぐ
けれど勢いよく注いではいけない
珈琲達が驚くから
静かに寝る子を起こさないように注いでやる
ゆっくり注がれたお湯はフィルターを通って深い琥珀の雫に変わる
まるで錬金術のように
淹れ終わるころには辺りはすっかり珈琲の香りに包まれている
砂糖やミルクなんて野暮なものは要らない
ピアノの単音が一番美しい音色のように
何かを混ぜてしまうのは粋じゃない



さぁ
魅惑の香りをどうぞ
あなたにも魔法をかけてくれます