宥める様に聴かせて
眠る前に古い歌を静けさに乗せて
昼間の暑さとはうって変わって
季節に逸れた秋虫が鳴いている
一ヶ月の内に何回か訪れる店
照明は緩やかに落とされて
美しいものに見惚れる
それは懐かしいから
獣達も寝静まった真夜中に
こっそり抜け出そう
周りはなんだか穏やかじゃなくて
悲しい事や辛い事が僕を突き抜けていく
飲み過ぎてふらふらしながら歩く
まだ夜の空気は肌に刺さる
シーツの擦れる音
闇に響いて
空を仰いで月に祈りを
夜の闇の傍らに海の音を
すっと伸びた細い並木道
淡い桜の間から柔らかい陽射しが漏れている