しとしとと顔に纏わりつく
細かい水の玉
世界が少し重たくなったように
世界の歩みを遅らせる
車も人々も木々さえも
彼女が好きだったこんな空模様
たまにはこんな天気も必要なのよ
と悪戯に笑った彼女
雨で景色が滲む
涙で景色が滲む
全ての境界線がぼやけて
全てのものがぎりぎりのバランスで
自らの形を保っているように見える
全部ひとつになればいいのに
そうすれば悲しくない
全部ばらばらになればいいのに
そうすれば悲しくない
しとしとと顔に纏わりつく
細かい水の玉
時間が重たくなったように錯覚する
一緒に泣いてくれてるのかな
他にも悲しんでる人が居たのかな
世界と共に濡れる