心象風景
キスして
手振って
またあなたの居ない生活に戻ろうとしている
スピーカーから流れる
緩いメロディを
柔らかな歌声が
優しげに歌い上げる
その一つ一つの音につられて
あなたとの何日かの時間も流れ出す
手を振ったときの寂しさよりも
たくさんの淡い時間
久しぶりに会って私を見て笑顔になったあなた
笑い合って私の方をみるあなた
前髪をかき上げるあなた
少し遠くを見つめる真剣な顔をしたあなた
穏やかで嬉しそうな寝顔で静かに寝息を立てるあなた
最後の時間が近づくに連れて少し寂しそうに俯くあなた
それでも笑顔をつくってくれたあなた
それぞれの瞬間が
一つの絵となって流れて廻る
それらの絵が
私の中で弾けて
雫となって目から一筋流れる