ゲーム

こんな関係は健全じゃない
不自然だよって宙を漂う言葉
体の相性って訳でもない
なんだって一緒に居るんだろう
危険を愉しんでいるようにも思えない
月の無い静かな夜に他愛のない話をしながら
隠れるように街の喧騒から離れる
縛られて繋がれている全てから逃げ出すように


「ね 車停めて?」
「ん? わかった」


少し幅の広い所を見つけてハザードも点けずに停車する
ドアを開けると蒼臭い湿った空気が入り込んでくる
風の無い空を見上げると首筋に汗が浮かんで来る
ポケットから潰れかけた煙草を取り出して火を点ける
吐き出す煙が恨めしそうに漂って消えていく


「男の人の煙草ってなぜか格好良いのよね」
「そうなんだ? 確かに歩き煙草をしている女性はちょっとな・・・」
「なんていうかそもそも似合わないのよ 女性には」
「そっか」


胸元を開いて体を摺り寄せてくる


「汗臭いよ?」
「それが好きなの」


首筋を舐められ細い指がスボンの中に入ってくる
煙草を落として火を踏み潰す
生ぬるい舌が僕を包み込む
長い髪を梳かしながら集中する
風が少し出てきて体を冷やしてくれる
虫の鳴き声も何所からか聞こえる
時間の感覚が失われる
堪えられなくなって中に入ろうとする
どろっとしたものが指を迎える


「だめよ 入れちゃ 帰りましょ? 遅くなっちゃったし」
「そのうち力ずくでするようになるよ?」
「こういう愉しみって貴重だと思わない?」
「気が狂いそうだよ 毎回こうじゃ」
「今だけしか愉しめないのよ?」


笑って髪を整えながら車に乗り込む
なんだか可笑しなゲームに巻き込まれたな