煩過ぎる雑踏の上で音も無く変わる信号の赤と青


目が覚めたときの腕の重みと入り混じった互いの匂い


曲がりくねった道と後ろに流れていく橙色の電灯


ケータイでメールを打つ人達を見ながら待つ急行電車


冷たい夜に巻き上げられる鮮やかに色付いた乾いた葉


鼻をつくアルコールの匂いと薄暗い部屋の風に軋む音


とんとんとんと包丁とまな板で綺麗なリズムを響かせる後姿


いろんなものと一緒に吐き出した煙草の煙が吸い込まれる冬の空


薄紫に染まる空と差し込む朝に追いつかれないように飛ばす高速道路


膝の上で転寝する頭を撫でるときの髪の毛の触り心地


澄んだ空気にどこまでも響く暖かい缶コーヒーを開けたときの音


呼んでもいないのに足に絡み付いてくる三毛猫のくすぐったさ


また明日って言って繋いでいた手を離した瞬間の心の苛つき


気怠るさとまどろみの中の止まったように流れる時間


冷蔵庫の中の明りしかない夜に何時ものようにそこにあるビール


聞きなれたケータイの震える音と青白く光る液晶に深夜の時計


眠れなくなるほど泣いた夜と腫れた目で見上げた朝日


洗い立てなのに煙草の匂いがするシャツに顔を埋めて見たり




こういうのを・・・なんて言うんだっけ