遥か遠く響く音

無意識か意識的にか普段は聴かないようにしている音楽がある
大体高校生の頃に流行った音楽が多い
大好きだった彼女に振られて
泣かないように大音量で耳に流し込んだ音楽
その場所から夢の中のような足取りで家に帰るまでずっと
同じ音楽を聴き続けてたなんとなく
ポップなメロディと優しげな歌詞に悲しみがリンクする
誰かが不意にカラオケなんかで歌うとイントロで涙腺が緩んでくる



友達の家から朝帰りを繰り返してた
眠気を覚まして帰る為にテンポの良いハードな音楽をいつも聴いてた
今も冷たく白いプレーヤーが朝一番にその音楽を選ぶときがある
不思議と力が沸いてくる
デジタルな運命を感じる



免許を取ったばかりで道も全然わからなかった
でもとても楽しかった知らない道を開拓する
それぞれ持ち寄ったCDは何周しても聞き飽きなかった
夜のドライブにそれらのCDを偶に連れて行く
その頃の喧騒が遠く響く
そのときの気分に左右されて落ち込んだり浮かれたり



鈍く重たくなった人間的感覚
感情とか記憶とか
普段の生活からは消えてしまいそうだから